見慣れた空間の中

 ぼんやり見つめる空間を満たす意識に集中していると、

 体の中から数分間、目の奥底から出る意識に泥み、

 細くなるそれは脳髄安定に効果がある。

 満たされていく空間は見覚えのある色を付け、

 ただ空気に思えたあの人の空間を見る。

 今眠気を抑えながらあの人を見る。

 あの人を見て、毛の穴から意識が抜けた。

 枯れた皮膚は永遠に循環を続ける実験場だ。

 何をしてもよい、どんな液が流れるとも流れるままがちょうどよい。

 満たされた脆い空間をわけて行くと、ただ夢の中の居間があるだけ。



 散文詩自注:失った家族と住んでいた家に満たされているものは何なのでしょう? 別に何もないと思うのですが、あるようにも思えます。

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