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第1回神谷学芸賞発表

(2013/12/18記)

 今年から、こっそりと「神谷学芸賞」というのを始めたいと思う。

1)10月20日(私の誕生日)前後、web上にこっそりと発表されるが、当人には告知されず、当然のことながら副賞等はない

2)前年10月1日から当年9月30日の間に初版が刊行された人文・社会科学、自然科学、ノンフィクション、写真集などののうち、神谷の狭隘な読書と貧弱な思索のアンテナに引っかかった書籍から選ばれる

3)翻訳書、編著書、高額書、過去の受賞者の作品も選考対象となる

 名誉も副賞も年齢制限もないが、他賞との重複・複数受賞はありありで、全体の面白さ、もしくはごく一部でも神谷の琴線に激しく触れるところがあればOKという、情実と独善が支配する横暴極まりないプライズ・ゲーム。

 まぁ、ちょっとした洒落ですので笑ってお付き合いください。

 さて記念すべき第一回は「金」「銀」ともに斯界の大物の受賞となった。この二人のどちらかが欠けていたら六車書に「銀」を差し上げていただろう。

 遠藤書は本当に残念。この本には別の筋の通しかたがあったと思うのだ。私だったら絶対にこの構成にしていない。それでもなお、本書の意義は深い。民族問題や移民の問題が少しずつ蚕食の気配を見せる欧州。10年たって、この本がどう読まれるかに注目している。

 平山書は単に私の好み(笑)。よくこんなところに着目し、一書にまとめたなぁ、という感心もある。今後、研究者としてどのような本論を組み立てるか、という点も気になる。

 前野、川上御両所は、タイトルのうまさに寄りかかることなく、内容的にもポスト塚本に名乗りを上げる名筆であった。次の作品も読んでみたい。きっと書けると思う。

◆金の神谷賞
 北岡伸一『官僚制としての日本陸軍』筑摩書房


◆銀の神谷賞
 塚本勝巳『世界で一番詳しいウナギの話』飛鳥新社

◆政治経済部門
 塩野谷祐一『ロマン主義の経済思想』東京大学出版会
 吉田真吾『日米同盟の制度化』名古屋大学出版会
 遠藤乾『統合の終焉』岩波書店 ★
 中島琢磨『沖縄返還と日米安保体制』有斐閣

◆社会風俗部門
 六車由美『驚きの介護民俗学』医学書院 ★
 平山昇『鉄道が変えた寺社参詣』交通新聞社新書 ★

◆歴史思想部門
 清水唯一朗『近代日本の官僚』中公新書 ★
 家近亮子『蒋介石の外交戦略と日中戦争』岩波書店
 松元雅和『平和主義とは何か』中公新書

◆自然科学部門
 前野ウルド浩太郎『孤独なバッタが群れるとき』東海大学出版会 ★
 川上和人『鳥類学者無謀にも恐竜を語る』技術評論社

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