著者の思索の原点へ
(2024/11/06記)
ついに完成。昨日見本が納品され、無事検品を終えました。
岩谷將先生の『民主と独裁の相克――中国国民党の党治による民主化の蹉跌』(千倉書房)は、国家統一を目的とする軍政から新たな段階(民主化)を目指した国民党政権の挫折の歴史を描いただけに留まらず、そもそも大陸中国を統治するとは如何なることなのか、という問いにまで思索の及ぶ、著者の原点の書です。
何故そうなるのか、何故そう考えるのか、広大な国土故の為政者の懊悩に思い至ると、今般愈々難しい隣国を解釈するための新たな視座が現れるでしょう。
その一方、アメリカ大統領選におけるトランプ再選の報に接するとき、改めて本書が内包する深遠な問題提起に思いを寄せざるを得ません。
私たちは、民主か独裁か、という議論の直前で立ち止まり、民主制の持つ可能性と脆弱性と、そのアップデートについて、真剣に検討する必要に迫られていると感じます。
国民党の実験と「失敗」は重要な手がかりであり、全国統治という一点において、一党独裁の効能と、その後のテクノロジーの進展が共産党に与えたアドバンテージの大きさと限界、を計る際にも有効な物差しではないでしょうか。
当月中旬より順次、全国の書店で販売予定です。ぜひお手にとってご覧ください。