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AIと付き合うのも楽じゃない

(2023/04/14記)

 昨年11月からあれこれ試しております。が、自腹でGPT-4を導入しても、基本的には翻訳ツールに革命を起こしたとまで言われたDeepLの時と、同じ結論にたどり着きつつあります。

 ChatGPTが効能を発揮するには、まさにそのための作法に則った問いかけ、ないし指示が必要で、それは英語の文法に依拠しているため、まったく同じことは日本語だとかなり難しいように感じます

 日本語と英語でいくつかの定型的質問・指示を用意し、定期的に投げかけるテストをしていますが、回答はその都度変化し、同じであったためしはありません。

 そして、同じ設問を繰り返すほど回答がより正しく、精緻になることも、今のところないようです。

 わずか数カ月という短期間のうちに人口に膾炙し、おそらくは稚拙な質問や誤った情報のインプットが激増した結果、正答への道が多様化しすぎてしまったのではないかと思われる事態も起こっています。

 行論が余計な枝分かれを含んで遠回りするようになったり、採用される傍証の質が劣化したり、というケースがそれに当たります。

 当然、レポート課題などで学生が濫用することを心配する声もありますが、文章の所々に織り交ぜられるデタラメは、学生には見抜けなくとも、その分野の専門家たる先生がたの目をくぐり抜けられるようなものではありません。

 ちなみにGPT-4は「大佛次郎論壇賞」を翻訳する際、なぜか「the Daisaku Ikeda Forum Award」としてしまいます。「osaragi jirou」という未知の人名と「award」という既知の単語を組み合わせ、類似するワードを検索した結果たどり着いたのでしょう。

 むろん大佛次郎より池田大作のほうが世界的な知名度はあるでしょうし(苦笑)。

 ただ、ここまではっきりしたエラーはともかく、巧妙に織り交ぜられたデタラメを発見する手間は必要なわけで、何百もの答案と向き合う先生がたに、これまでと異なる負担が増えることは間違いなさそうです。

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