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ホワイトナイト


それは連絡も寄こさず押しかけてくる。

寝返りを打ってみても呻いてみても無駄で、観念して瞼を開けるとちゃんとこちらをみている。歓迎なんかしてやらないけれどお構い無し、嘘みたいに長い夜がはじまる。

こうなるともう駄目で、明かりをつけてあったかいものでも出して丁重にお引き取り願おう、なんてお利口な考えはてんで出てこない。ブルーライトをボンヤリ浴びている。十分に悪い視力を無駄に削っている。そいつはちゃっかり隣に張り付いて美味しそうにそれを見ている。

誰かの声がききたい。いや、いや待て落ち着け、そんな恐ろしいことは出来ない。余計に静かになってしまう。秒針がさっきからうるさいのとおんなじ。
そいつはしきりに頷いてくれる、迷惑極まりないけれど少なくとも私のことを一番よくわかってるそいつとべったり添い寝するしかない。

天井など見上げているとなんだか数百年の月日でも積もったみたく身体が重くなるけれど、さっきから十分と経っていないらしい。意識して息を吐き出す。難しい。もう一回吐き出す。浅い。

流石に困る、ノロノロとそう考える。
こいつ重いくせにくっついてくるから動けないし。

結局なんとなくニコニコ動画を眺めている。
ウロウロ、昨日の新曲も聴きたいけれど新しいものはちょっと胃もたれしてくる真夜中だ。

そうして辿り着く動画がある。

ホワイトナイト。


白々と遠くで弾む光みたいな音。囁くような声。こんなにあかるいのにどうしたってここは、夜だ。せつなくて仕方ない、その理由もわからない、じっとしていられないくらいに胸が締め付けられているうちに曲が終わる。もう一回聴く。もう一回きく。歌詞の意味とかなんの音なのかとか私にはよくわからなくて、それがじれったいし心地良い。もういっかいきく。

息を呑むくらいにきらきらしている。それだけはわかる。ぴったりな言葉がいつでも思いつかなくて、ただそっと、ナカノさんはいいぞ……って言い続けている。
今夜こそは記事にしようってnoteを開いてことば遊びを始める。ずっしりと胸あたりに乗っていたあいつはいつのまにやら足元で大人しくまるくなってそれを見ている。夜明けまでにちょっと眠れるといいな、醒めてきたアタマの隅で諦め気味にそう思っている。おわらない。



不安で、知って、切って、貼った、夜、戻して、愛の輪、
繋いで、呼んで、待って、泣いて、声がして、振り返る、
ふらっと、間違って、もう、一度って、描いてる白、散って
また繰り返す
ずっと


【桃音モモ】 ホワイトナイト 【オリジナル】 http://nico.ms/sm19631854?cp_webto=share_others_iosapp


#vocanote #UTAU