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まちを知る、つくる、つなぐ かみしほろデザインワークショップ 開催レポート

北海道上士幌町では、2023年度からアーティストインレジデンス事業「かみしほろAIR」を開始しました。

2023年夏、第一弾の取り組み「かみしほろデザインワークショップ」を開催しました。

4泊5日の間、北海道上士幌町に滞在しながら地域を知り、地域を象徴するデザインを制作するワークショップ。上士幌町と壁紙ブランドWhOさんが連携して企画しました。

どんな方からの応募があるのかドキドキしていましたが、嬉しいことに全国各地から定員を大幅に上回る多くの応募がありました。厳正な選考を経て、参加者メンバーは以下の9名の方に決定。

・インテリア/プロダクトデザイナー [40代/北海道在住] 1名
・デザインスタジオ(バイオサイエンス)代表 [30代/東京都在住] 1名
・インテリアデザイナー [30代/東京都在住] 1名
・⼤学⽣ [20代/神奈川県在住] 2名 ※美術⼤学在学
・グラフィックデザイナー [20代/東京都在住] 1名
・デザイナー [30代/⼭梨県在住] 1名
・アーティスト [30代/⻑崎県在住] 1名
・アーティスト [30代/東京都在住] 1名
※応募者数:31組44名

また、審査員には「地域×クリエイティブ」の文脈でご活躍されているお二組にお声がけしました。

知床と横浜の⼆拠点で暮らす、まちのクリエイティブ・ディレクター
初海淳さん(はつみ じゅん)

1967 年、横浜⽣まれ。早稲⽥⼤学政治経済学部卒。株式会社JIC(現JTB コミュニケーションデザイン)⼊社。マス媒体で展開する、いわゆる広告プロモーションのクリエイティブを担当。2015年より、地域活性化へつながるエリアブランディングに活動の範囲を拡げる。2019年より、WeWorkをベースにnamiuchigiwa branding &creativeとしても活動開始。2022年4⽉よりJTBコミュニケーションデザインを退社し北海道・斜⾥町役場の地域プロジェクト・マネージャーに就任。地域ブランディングを中⼼に活動している。

ワンズプロダクツ - onesproducts
瀬野 航さん・瀬野 祥⼦さん(せのわたる・せのしょうこ)

⽂化服装学院を卒業後、東京でアパレル業を経て2016 年、⼗勝上⼠幌町に移住。2018 年より「ワンズプロダクツ」を起業。⼗勝管内を中⼼に、広告、パッケージ、ロゴ等のデザインを⼿がける。デザインを通して地域の魅⼒を発信中。

他、上⼠幌町では美術⼤学と連携した産学官連携プロジェクトを構想しており、その関係で武蔵野美術大学芸術文化学科・建築学科の学⽣7名がワークショップ運営側のメンバーとして参加。全力でワークショップのサポートをしてくれました。

たくさんの方に関わっていただいて実施したワークショップ。当日の様子をレポートします。


1日目・・・「地域の魅力やデザインをインプットする一日」

かみしほろシェアOFFICEでのオリエンテーションの様子

まずは「かみしほろシェアOFFICE」にてオリエンテーション。参加者9名+運営メンバー全員の自己紹介をした後、上士幌町の概要・壁紙のデザインをする上でのポイントをインプット。武蔵野美術大学の学生さんが前入りして制作した町の魅力的なスポットをプロットした「かみしほろMAP」もお披露目!


武蔵野美術大学芸術文化学科・建築学科のボランティアのチームのみなさん。上士幌町に前入りして、町内を電動自転車や電動キックボードで探索。”上士幌らしさ”をそれぞれの視点で見つけてマップにプロットしてくれました。

そして、地域の歴史や文化について学ぶレクチャーを実施。お呼びしたのは、上士幌生まれ上士幌育ち、上士幌高校で教員のサポート役として長年働かれていた大友禮子さん。生まれた当時の上士幌町の風景や日常の食べ物、全国でも珍しい上士幌高校の気球部の設立などについてお話しいただきました。

大友禮子さんによるレクチャーの様子。上士幌町でこれまで過ごしてきた禮子さんしかわからない地元住民ならではのエピソードがたくさん聞けました。

その後、廃校を活用した施設「上士幌イノベーションサイト」に移動。少し休憩した後、1日の締めくくりに全員でBBQ!翌日に備えます。

「上士幌イノベーションサイト」に移動。廃校を活用した企業向けのレンタルスペースです。当時の教室や体育館がそのまま残されています。
上士幌町の町史がまとまった本などを閲覧できるように「上士幌イノベーションサイト」に置いておきました。参加者の方に参考にしていただきました。
全員でBBQ!町長にも参加いただきました。

2日目・・・「フィールドリサーチから町の景色を共有する」

ほろん号に乗って渓流を実施。

午前中はフィールドリサーチ。天気が無事晴れたので、早朝から気球に乗っていただきました!気球のバスケットに紐をつけて地面に固定して気球を上下させる「係留」を実施。フリーフライトより高度が低いですが、それでもかなりスリリング。

片付けの様子。空気が球被の中に残ると膨らんで収納袋に入らないので、全員で協力しながら空気を抜いて小さくしていきます。

その後、東大雪自然館の学芸員さんにガイドをお願いして、手付かずの自然が魅力的な糠平エリアを案内いただきました。人造湖である「糠平湖」はダムの放流で水位が変化します。この日は水位がかなり低く干上がっていたので、湖の中を歩くという貴重な体験をしました。

東大雪自然館の乙幡さんによるガイド
たまたま湖が干上がっているタイミングだったので、湖の上を歩くことに。
大自然の中をウォーキング。
蝦夷鹿も発見!糠平エリアには蝦夷鹿がたくさん現れます。

もちろん、定番の観光スポットである日本一広い公共牧場「ナイタイ高原牧場」にも行きました。

ナイタイ高原牧場では牛の大群が見れました。牧場が広すぎて牛を見つける方が貴重です。

午後は、これまでの2日間のインプットを整理するフリータイムの時間を各々過ごしました。

3日目・・・「各自デザインワーク – 中間プレゼンテーション」

午前中は、農家さんの畑見学。
1軒目は、「関口農場」の関口嘉子さん。北海道で代々受け継がれてきた希少品種を含む多種多様な豆を約30品種ほど栽培されています。綺麗な豆の花を眺めながら品種ごとの特徴を解説をいただきました。

豆の品種ごとに草丈が異なったり、お花の色も違う。それぞれの特徴を解説いただきます。
盛り上がったのは好きな鞘を選んで自分で開けてみるという体験。開けてみないとどの豆が入っているかわかりません。
豆の花が満開。白い花とオレンジの花が咲いていて綺麗です。”豆の花を食べる”という体験もさせてもらいました。

2軒目は、「須田農場」の須田侑希さん(兄)・須田和雅さん(弟)。兄弟で味を追求した野菜を少量生産で試行錯誤しながら栽培しています。採れたてのホワイトコーンを生のままかじったり、ミニトマトをいただいたり美味しい野菜を堪能しながらお話を伺いました。

右が兄の須田侑希さん、左が弟の須田和雅さん
ホワイトコーン「雪の妖精」を生で試食させていただきました。めちゃくちゃ甘い!

お昼はジンギスカンを食べて、午後イチはフリータイム。

夕方からは、審査員のお二人からのレクチャー。
ワンズプロダクツの瀬野 航さん・瀬野 祥⼦さんと、まちのクリエイティブ・ディレクター初海淳さんにご自身の活動についてお話しいただきました。その後、中間発表として参加者のみなさんから途中経過を共有いただきながら審査員の方も交えてディスカッション。

ワンズプロダクツの瀬野 航さん・瀬野 祥⼦さん。ご自身で取り組まれた地域に根差したデザインについてご紹介いただきました。
まちのクリエイティブ・ディレクター初海淳さん。北海道斜里町「知床」でのブランディングについてお話しいただきました。
参加者の方それぞれから途中経過を共有いただきました。

夜は宿泊場所になってるにっぽうの家上士幌にてみんなで賑やかに夕食を。

夜はにっぽうの家で夕食。屋外のウッドデッキにテーブルと椅子を置いて、全員で「上士幌ポーク」を使ったカレーライスとふるさと納税返礼品にもなっている「かみしほろ餃子」と食べました。

4日目・・・「終日フリー」

終日自由行動の日です。参加者の皆さんに一人ひとつ貸出したモビリティ(電動キックボードや電動自転車などなど)で町を走り回りさらにリサーチをする方もいれば、滞在場所である「にっぽうの家 上士幌」や、廃校を活用した施設「上士幌イノベーションサイト」にこもって制作をする方も。
市街地から離れて糠平エリアのさらに奥にある、十勝三又の白樺並木まで行った方もいました。

5日目の最終プレゼンテーションに向けて、各々準備を進めていた1日でした。

制作の様子①
制作の様子②
制作の様子③
制作の様子④

5日目・・・「最終日 – プレゼンと結果発表」

最終日はAM10:00から、9名の参加者の方によるプレゼンテーションを実施しました。

北川さん
長濱さん
山本さん
中村さん
野原さん
清水さん
飯田さん
野澤さん
ジョさん

同じ場所に滞在していたのに作品は一つとして同じものがなく、着眼点が様々だったことがとても驚きでした。9名全員の発表が終わった後、審査員のワンズプロダクツの瀬野 航さん・瀬野 祥⼦さん、まちのクリエイティブ・ディレクター初海淳さんと共に審査会を開催し、グランプリ作品を決めます。

自治体としての視点、
壁紙としての視点、
どれくらい"かみしほろ”らしさがあるか、
心が動かされたかどうか、
などなど、独自の選考基準に照らし合わせながら検討しました。

選考の結果・・・・

グランプリは、山梨県にお住まいのアーティスト、ジョ・リュウさんの作品に決まりました!

町長からジョさんにグランプリパネルの授与

グランプリ作品はこの後、WhOさんの壁紙として販売されます。また、上士幌町のオリジナルクレジットカードの柄としても採用されます。

が、実はグランプリ以外のデザインも、素敵なデザインをたくさん作っていただいたので、ほぼすべて壁紙化させていただくことになりました。

グランプリ作品の原画
最後に町長も一緒に写真撮影。みなさんありがとうございました。

計5日間のワークショップ。北海道も30度以上の気温の日が続き、とてもとても暑い連日の猛暑日でしたが、天候には恵まれ、最終日も快晴の中で無事終了しました。

どんなデザインができたのかは、この後壁紙が販売されるタイミングと合わせてこちらでお知らせしますので、どうぞお楽しみに!


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