#1 村上のホームラン

村上がシーズン55号のホームランを打って王貞治氏の記録に並んだのを、新作の稽古が終わって家に帰ってきて見た。
今日の稽古は2日目で、出演者の松井周さんとファン心理や「推し」のことについて話していた。

ぼくは中学生のときからヤクルトファンで、
だが演劇を始めたくらいから徐々にその動向を追わなくなり、
球場にもほとんど行かず、誰がチームにいるのかもよくわからなくなっていたから、ずっとファンだったとは言えない。
去年のペナントレース後半戦くらいからちょこちょこ見始め、日本シリーズ最終戦を現地で見たことでヤクルト熱が再燃して、今年は20回くらい球場に見に行った。

翌朝テレビを見ていたら、村上55号!というニュースをやっていて、
それで思ったのは、
すごいと思うんだけど、あんまり自分は喜んではいないなということ。
理由は簡単で、ヤクルトはその試合に負けてしまったから。
ぼくにも好きな選手はいるが、その選手がいくら活躍してもチームが勝たないとうれしくない。だから、チームのファンなんだなと思った。

去年Youtubeで知って、けっこうハマった地下アイドルグループがいたが、
ひとり抜けてグループの名前が変わってからなんだか熱が冷めてしまった。
やっぱり箱推しだった。

このところ大谷翔平がメジャーリーグですごい成績をおさめていて、
野球を見ない人でも彼の名前は知れ渡っているくらい、ニュースやらなんやらで話題になっている。
だけど、彼のチームが勝ったのか負けたのか、いまの順位はどこなのか、
そういうのはあんまり知られていないっぽい。

大谷すごいすごいという人たちのことがわからない。
わからないというのは非難ではなく、
ぼくにはない感覚かもしれないという意味でわからない。
メジャーリーグがどういう世界で、チーム状態はどうで、彼のやっていることがどのように位置づけられるのか、といった物語がなくても、我が事のように(?)すごいと思えるのだとするとそれはどうしてなのか。

わからないといえば今回の台本である。

稽古を重ねていくにつれ、おそらく修正は加わるが、だいたいこれで台本は完成、という状態にはなった。
けっこう時間がかかってしまって、できたのは稽古が始まる前々日だった。

本当はキャストオファーをする段階には少なくとも8割くらい書けていてほしい。でもいつもけっきょく企画書を作ってコンセプト文、つまり、どういうことをやろうとしているかの説明を書くのが精一杯。
よくないと思っているが、キャストを決めてから台本を書くというのを毎回やってしまっている。

去年は「琉球怪談」という公演をやったが、原作があるものだったので、台本を書いたというよりは、すでにある(書かれた)ものを組み立てた、というニュアンスだった。
だから、演劇の台本を最初から書くのは今回ひさびさ、3年ぶりだった。

この台本、自分にとって不思議なのは、
書いているとき、方向性がなんとなく見えたとき、第一稿が書けたとき、完成と呼んでいいかなと思ったとき、いずれの場面でも、
これまでなら感じていた、充実感なのか手応えなのか達成感なのか、書いているぞ!というエネルギー消費の実感なのかうまく言えないのだが、そういうものを感じなかった。

だから、できたものもなんだかわからない。
完成したのか、これでいいのかわからないのである。
それはつまり、完成してないとも、これではだめだとも思っているわけではないということでもある。けっこう面白く書けたんじゃないかと思う心もある。でもそれよりも本当に、なんでこれで「できた」と思えたのか、よくわからない。。

今回の作品を上演することで、「自分にもテレビとかの脚本の仕事が来たらいいな」
そのために「そのためにいつもよりもわかりやすくキャッチーでおもしろくを心がけて作るぞ!」と意気込んで取り組んだつもりだったのに、
なぜこんなことになっているのか。
(でも傍からはいつも通りに見えるのかもしれないのだが。わけがわからない作品とよく言われるし…)

とにかく、今回の作品は自分にとって、書き上げた感を感じられないところが変で、なんでこうなっているのかよくわからない。

なので、こうやってだらだら書いていたら、なにかわかるかもしれないと思って、これから、
・なにをどう思って/どうやって台本を書いていたか
・稽古はどうやって進んでいるか
・興味があること/ないこと、参考にしたこと/捨てたこと
などを書いていけたらいいなと思っているのでよろしくお願いします。

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「イミグレ怪談」
2022/10/28(金)-30(日)@沖縄那覇、2022/12/15(木)-19(月)@東京池袋、2023/1/28(土)・29日(日)@京都
https://okazaki-art-theatre.com/kaidan/ (9/15か9/22公開とのこと)

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