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総選挙:雑感(3)必要なのは自民党の右に位置する改革・地方主権野党

今後の野党のあり方を考える前に、れいわ新選組と日本維新の会について「覚書」しておきたいと思います。

れいわ新選組は、今回1議席獲得できるかどうかだという。現在、参議院で2議席。2019年4月の結党から2年6か月、2度の選挙を経て獲得議席わずか2-3議席。山本太郎代表がよくも悪くも目立っているのですが、はっきりいって「泡沫政党」としかいうしかない存在にすぎません。

どうしてこうなったのかというと、山本代表の「政界サバイバル術」の結果だと思います。山本代表は、自民党との違いをはっきりとさせることで、存在感を示そうという戦略をとったと思います。山本代表はクレバーな人です。それ自体が間違っていたわけじゃありません。

ところが、自民党は「保守」のイメージとは裏腹に、政策的にどんどん左に旋回してきたわけです。山本代表は、クレバーな政治家です。野党の政党を奪って自分のものにしてしまう自民党の強さをわかっていたのでしょう。自民党に絶対奪われない左の端まで、政策をシフトさせた。それが「消費税廃止」などの「れいわニューディール」です。

さすがに、自民党は盗む気になれないわけです。それは、山本太郎という政治家個人をサバイバルさせるには有効でした。その一方で、れいわ新選組を泡沫政党にとどめることになってしまいました。「れいわニューディール」を現実的な政策だと感じる人は、日本の「サイレントマジョリティ」である中道層には皆無。極左に位置する数パーセントには熱狂的に受けることがあっても、それ以上の支持の広がりを捨ててしまったといえます。

山本代表は、どこへ向かっていくのでしょうか。彼はひとり政界で生き残っていくでしょう。一時は政権を獲るとまで言っていたわけですから、野心はある。ただし、れいわ新選組はどこかで畳み、次のステップへ進むでしょう。極左に突き進んだのは、サバイバル戦略に過ぎないですから、突如、右旋回する可能性だってありますよ。

今回、最も躍進するかもしれないのが、日本維新の会。コロナ対策で奮闘し、評価を高めた吉村洋文副代表(大阪府知事)の人気を追い風に、大阪では圧倒的な支持を集め、その他の地域でも議席数を伸ばしました。合計で改選前の3倍の30議席獲得の可能性もあるといいます。

維新の会の躍進にこそ、今後の野党の進む方向性のヒントがあると思います。

まず、コロナ禍で明らかになった、現場の状況の柔軟かつ迅速に対応するには、地方自治体が前面に出るほうがいいということ。

吉村知事は、大阪市長時代に待機児童をほぼゼロにすることに成功しました。コロナ禍のような緊急事態だけではなく、福祉・社会保障のようなさまざまな政策課題も、自民党政権が中央集権で全国一律に解決しようとするよりも、的確な対応ができることを示しているのです。

いわゆる「地方主権」という構想の再構築を、政策対応の現場の経験をもとに行うことが大事だということです。

そして、松井一郎代表がよく言っている「大阪の改革の経験を全国へ」の実行が大事です。大阪以外に支持を広げるためには、維新の党の原点に戻ることです。国政政党の前に、まず地域政党。全国の地方自治体の首長の座を獲ることを徹底的に狙っていく。そのために、東京の「都民ファースト」など、各地の地域政党とは、いろいろな過去の経緯を超えて、大合流を目指すべきでしょう。

さらにいえば、元々「希望の党」という地域主権を目指した政党だったはずの「国民民主党」も、基本的な政策志向はそう変わらないので、合流すべきだと思います。

維新の会は、自公連立政権に加わる可能性が取りざたされています。短期的には、その経験をするのもいいと思います。しかし、自民党に埋没してはダメです。あくまで、中央集権の自民党とはまったく違う、地方主権の国家観を持っていることをアピールし、またそれを海外の事例も研究しながら、練り上げていくことが重要です。

そして、まず重要なのは、野党共闘のような自民党の左にいくのではなく、自民党よりに右に位置することです。自民党は、安全保障政策を除けば、政策的に左旋回しています。コロナ禍で一律10万円の特別給付金を出して以降、財政規律のタガが完全に外れてしまってます。これに対抗して、さらに左に寄ると、ただのバラマキ合戦になってしまいます。

それよりも、自民党の右に位置し、社会政策は中央集権の一律バラマキではなく、地方主導で的確な現場対応をする、人権、多様性、女性の社会進出、などや、デジタル化、IT化、サイバーセキュリティ、経済安全保障などは、不毛ななんでも反対でなく、「自民党は改革が手ぬるいし、遅い。もっとスピード感を持って、改革を進めよ」と批判する野党が必要なのです。

維新の会は、吉村知事の経験と人気で得た好機を生かし、ぜひ新しい野党のあり方を作り上げてほしいのです。






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