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TPP加盟交渉:「国家」という単位がもう古いのではないか

台湾と中国が、ほぼ同時にTPP(環太平洋経済連携協定)への加盟を申請しています。「1つの中国」という原則から、中国が台湾の加盟申請を認められないと主張しているし、TPPのルールに合わない経済システムの中国が加盟申請をしたのは、台湾の加盟申請を妨害するためだという指摘もあります。

しかし、こういう国際政治の話以前に、そもそも論として、台湾という1つの大きな経済圏が存在しているという現実があるんじゃないでしょうか。

要するに、自由貿易圏の協定を作る交渉を、「国家」という単位でやっていること自体が、現実に即してないということを示してないでしょうか。

「1つの中国」を強く主張している中国自身が、経済特区をつくり、その中では社会主義のルールを撤廃し、なんでもありの自由経済圏を作り、外資を呼び込むというモデルで経済成長したのです。言い換えれば、中国は国家全体で経済成長したのではなく、「都市ベース」で成長したのです。

中国は、国全体としては国有企業中心の社会主義であり、TPPのルールに合わすのは難しいといわれています。でも、経済特区の都市ごとにTPPに加わることは、可能かもしれないですね。

要は、台湾も、上海や深センなど大陸の都市も、1つの経済圏と考えてTPP加盟交渉する形が、より現実に即しているのではないでしょうか。

私は昨年、「コンパクトデモクラシー」(小規模で機動的な民主主義)という概念を提示して、それが世界で広がる権威主義への対抗軸であり、巨大な中央集権の民主主義国家体制の代替でもあると訴え、少しだけ話題にしてもらいました。

TPPをめぐるさまざまな攻防も、「コンパクトデモクラシー」という考え方から見直してみると面白いかもしれません。




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