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「国産ワクチン」なんて時代遅れの昭和の発想

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が世界最低水準にとどまっていることで、「国産ワクチン」を開発する体制づくりの必要だという。しかし、この「国産ワクチン」という発想自体が、もう時代遅れのどうしようもないものだと思います。

「国産」という言葉に込められるニュアンスは、いわゆる「自前主義」。日本の研究者、日本の技術、日本の会社、そして日本政府の指導とお金で開発する、というものだ。昭和の奇跡的高度経済成長をもたらしたやり方ですね。日本らしくやれば勝てるということなのでしょう。

でもね、世界のワクチン開発って、どうなってるか知ってます。ここは、一応ロシア、中国という権威主義国が国家の威信をかけて開発した(?)とされるワクチンは除いて考えます。あれはかなり無理をしていて怪しいと思いますので、それを除いた、真っ当な自由民主主義国のワクチン開発の現状です。

端的にいえば、ファイザーは米国産じゃないし、アストラゼネカは英国産じゃないです。それぞれ、会社の国籍は米国籍、英国籍ですがね。

アストラゼネカを例にすれば、共同開発のオックスフォード大は、全世界約30カ所の新興感染症の前線の現場を持ち、世界中の研究者を集め、オックスフォード大の博士号を与え、英国や出身国でオックスフォードの拠点で働いている。優秀であれば国籍など関係ない国籍軍なのです。

その資金はウェルカム財団などの民間の基金が中心。世界中から資金を集めて、日本も出資してますよね。昔、調べたことがありますが、国からの資金に依存する日本の大学の約1000倍でした。

アストラゼネカも当然、社員は多国籍軍。製薬会社は日本のタケダでさえ、部長以上は一時期一人を除いて、皆外国籍という時期もあったので、広く世界中から人材を集めて、最先端の開発を行うのが常識。そういえば、アストラゼネカは日本の工場から台湾にワクチンを提供するんですよね。

そこには、日本流のような自前主義というか、竹槍戦法のような精神論は存在しないのです。国産なんてありえない。

ただし、国籍はある。世界中の人材を集めて、出来上がったものには米国籍、英国籍という旗を立てる。「ショー・ザ・フラッグ」ですよ。

だから、日本国籍の日の丸ワクチンを否定するわけじゃありません。しかし、それは世界中の優秀な人材、世界最先端の研究成果と技術、世界中からの巨額の資金、あと、政府から変な介入を受けない独立性、そういう体制を組んで、最後に日の丸を立てるだけでいい。

その方が、結局日本の若い人材、新しい技術も育つんです。古い人たちが、古いやり方で、若い人を囲い込んで根性論、精神論を押し付けても、それはまたB29に竹槍で戦うという敗北の歴史を積み重ねるだけでしょう。





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