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首縊りの家

埼玉県某所に住む私の知り合いKさんの話。
Kさんは年に一度、群馬のとある家に実姉と知り合いの霊能者さん、そしてお坊さん数名と共にある家に拝みに行く。僕もいつだったか、その家の話に興味を抱き連れて行ってくれと懇願した事が何度かあったがKさんは口を揃えて

「あんたが覗いちゃダメなもんなんよ」

そう言って頑なに僕の動向を拒んだ。しかし、そこで何が起きているのか、起こるのかだけは話してくれた。それは先祖から受け継いでしまった呪いの連鎖であった。

戦国時代
とある武将が敵軍に追い詰められ、現在の群馬県某所のある集落へ逃げ延びて来た。集落の人たちは武将たちを手厚く歓迎した。緊張状態も数日もすれば落ち着き、集落の人たちとも打ち解けた頃であった。武将たちは襲われ、皆殺しにされてしまった。集落の人間たちは、最初から武将たちが逃げる際に持って来た金や家宝だった。寝ている隙を伺い、首を落とすという残忍な手口で殺してしまった。主導権を握っていたのは集落の長だった。その集落は金や家宝のおかげで繁栄ができたと言う。
しかし繁栄は長くは続かなかった。突然、村の長が首を吊ったのだという。なんの理由もなく突然の自殺だったようだ。だが、それ以来ある時期になると長の家の誰かが首を吊るという事が続いた。それは何百年も繰り返されており、それらを知る人たちから「武将たちの祟り」と恐れられたそうだ。
Kさんが、その家へ行くようになったのは偶然からであったという。しかし不思議と今でも誰かがその家で首を吊る事があるんだそうだ。何度も何度も供養の為に拝みに行っても、その連鎖は終わらないのだという。それでも祟りが終わるまではKさんは生き続けると言う。

毎年、秋になるとその話を思い出す。

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