50歳超えの大学院留学(オンライン)‥コロナと、老人ホームの面会についての質的研究‥分析中の落とし穴

何故、新型コロナ流行下における老人ホームへの面会をテーマに選んだかというと、特別養護老人ホームにいる母親に面会することが許されないのが納得いかないからだった。

自分の思いとしては、こうだった。
世の中は行政などの出してるデータも見ずに漠然と、コロナ怖い怖いと騒いでるけど、老人ホーム入所者の家族がいる人なら、面会制限が自分の家族に与えるメリット・デメリットを冷静に考えて、面会する方をよしとするだろう。

しかし実際には日本で老人ホーム入所者の家族が、面会を求めて運動してると聞かないが、何故か? 何がそれを邪魔してるのか?

そういう前提でインタビューをした。
で、結果を分析してみたが、いくつもの落とし穴‥時間ばかり食って、論文の字数を埋めるのに役立たないもの‥があった。

最大の落とし穴:
インタビュー時点でフィリピンを除くとどこよりも、日本は人口当たりのコロナ陽性死亡者が少ないのに、外国居住者は全員が老人ホームの面会に反対しておらず、日本に住む人では反対が多かった。
ということは、どちらかの居住者には指向を変える心理学的な力が(より?)働いているのでないか?

これを分析していくのに、新型コロナの流行が老人ホームの面会制限を考えるほどの事態だと私が思っていれば、じゃあ何故外国居住者は面会に反対しないのかを分析しようとなる。
例えば、インタビューした人の国やイギリスでは、生存より実存‥生活の質とか‥を重視する価値観があるのかとか、家族の繋がりが日本より強いので危険でも会わずにはいられないのかとか。

逆に老人ホームの面会制限をすべきほどの事態でないと私が思っていたら、日本に住む人にどんなバイアスがかかって、面会を反対してるのかを調べたいとなる。
そう言えばインタビューでこんな事を言った人もいた。コロナが怖いからというのは、面会したくない言い訳じゃないのか、と。また親の面会よりも、日々の生活を成り立たせるのを重視してるのでないか、コロナでいろいろ新しい商売も生まれてるし、忙しいんじゃないか、とも。
確かにコロナで生活がいろんな意味で大変になった人は、世界中どこでも多かったと思う。だけど生活を立て直すのと親に会うのと、どちらをどの程度重視するかって文化によるかも。日本じゃ、遠くの親類より近くの他人て言うしなぁ、意味がちと違うかもだけど。去る者は日々に疎しとも言うしなぁ。老人ホームに入っちゃって、自分の目の前からいなくなった親は、去る者なのかなぁ、日々の生活の方が大事なのかなぁ。インタビューしたなかに、そういう事を感じさせる人もいたなぁ。
日本は集団主義的な文化だから、親の面会は多くの人にとって大切じゃないのかなぁ‥?  あら、するとフィリピンはどうなるのだ、どっちだろう? こうして考えは迷走し、文献を調べまくったけど、全然まとまっていかなかった。

とにかく分析者である私が新型コロナをどう考えているか、老人ホームの面会を制限しないといけない事態なのかどうかの価値判断が、分析を進めていくのに鍵になると思ったのだけど、草稿にそれを書いたら担任にダメ出しされた。
書き方が悪いというより、新型コロナの評価を書くこと自体が駄目と言われたように私は思ったのだけど、実際はどうだか今でも分からない。
結局、コロナが怖いからという直接の理由以外を分析するのは‥時間をかけた挙句‥やめにした。

次の落とし穴:
インタビューで、ワクチンを打って安心したとか、ワクチン証明書をだせば建物に入れたとかって答える人が多かったので、新型コロナのワクチンが安心感をもたらすのか、ワクチン証明書が安心感をもたらすのかを分析しようとしたけど、先行研究が見つからなかった。

そりゃ、そうであろう。ワクチンは免疫学的にとか、ウイルス学的に効くのじゃなきゃ都合が悪かろう。
心理学的に効きましたって論文を書く人は珍しいだろうし、それを受理する雑誌も更に珍しいだろう。

入学してから、これまで散々言われてきたのは、その研究が先行研究に何を付け加えるのか?、これまでの学説との異同はどうなのか?、だ。
更にメゲるのが、先行研究もないような内容は、もんのすごく素晴らしい研究か‥そんな可能性はほぼ無くて、やる価値がないかだよ、と。

しかしもうインタビューもしたし、引き返すことも出来ない‥。
ワクチンとワクチン証明書についても、大いに興味をそそられたのだけど、何せ先行研究がないのだから、論文の中で考察を進めるには具合が悪かった。

こうして障害物競走のように次々と落とし穴に嵌って、破れかぶれで何とか字数を8割強うめて、提出した。
結果としては‥はは、ギリギリ合格。

そしてコロナ流行下の老人ホームへの面会というテーマを超えて、この研究をしたことによって気づいた事があったのだった。‥表題と、分析の結果として判明したことがズレてるから、research question は何ですかなんて言われたのかも。
気づきについては、次回書きます。

今回もダラダラと長くなり、読んでくださった方、お疲れさまでした。
有難うございました。

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