「芸術起業論」村上隆著

世の寵児となった村上隆の芸術の売り方の考え方がわかる本でしょうか。

刺激的ではあるし、その世界で認められているのだから、正しいことを言っているのでしょうけど、注意が必要だと思います。

「自分とは違う考え方で成功している人の考え方」と捉え、その考え方に飲み込まれず、うまく付き合って吸収できるところは吸収するというスタンスで読むのが正解かもしれません。

芸術を生み出すことが全てではないので。

仲の良い人と良好な関係を築いていくのは、芸術を生み出すより大切だし、居心地の良い場所を維持するのはもっとも大切だと思ってるので。

自分の場合、無理して体を壊してしまった過去があります(今も治療中)。

なので、著者のクリエイターを追い込んで個人以上の能力を引き出したり、著者が海外に行き場を求めて行って、地獄を見たたけど、創作の中で光を見れればそのあと壊れてしまっても良いのではないか、という考えには反対です。

人はものを創り上げることが全てではないと思います。
近しい人に作品を見てもらい、その相手の考えで作品を創ってもそれが透けて見えるからダメ、みたいにも書かれていましたが、近しい人の考えを添えることになんの問題があるのでしょう?

とは、言いつつも、助言を求めた上にその考えを切り捨てた経験もあるので、強くは言えませんけど…。

否定的なことを多く書きましたが、機会があれば、もう一度読みたい本です。

共通言語である「マネー」の大切さも書きつつ、その業を克服こともこれからの芸術に必要ではないか、とあとがきで綴っています。

本の最初の出だしが、賛否両論の考え方で、それは著者の「しかけ」で、それにハマって読み切ったという感じです。

ただ、繰り返しになりますが、体を壊すと失うものはすごく多いし、周りに迷惑をかける量が多くなります。

それで本当に「自分の創作を自分で支えている」と言えるのか、と考えてしまいます。

著者は怒りの感情を持ち続けることが創作の原点のようにも書いています。

自分も確かに学生の頃は怒りを創作にぶつけてました。

でも、今は違います。

「自分を癒すため」です。

そして、「一緒に癒される人がいたら、そばに来なよ」って気持ちがちょっとあるくらいです。

個人には個人の良い歴史も悪い歴史があります。

それを昇華するのが良いんだ、とも言ってたと思います。

そういうものなのかもしれないですね。

消化不良で感想を書いていますので、「考え違いだ!」という点もあるかとは思いますが、そんな感想を持ちました。

創作するなら、読んでおいて損はないと思いますよ。

途中で投げ出さず、最後まで読む気があれば、の話ですけどね。最初に言っていることと、創作を続けて行く中で考えたことが違った面を見せてくれますので。