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身長170センチは、コンプレックスになり得るか

少し前にネット上で、身長の高い女性が

「女なのに身長高くてすみませんみたいな謙虚さがほしい 」と言われた

というような記事を見た。
それに対して本人は全く気にしていない様子で、むしろ「プライド傷つけてすまん!!」とネタにして笑っていた。

わたしは、身長が170センチある。くだんの女性は167センチほどと書かれてあったので、わたしのほうが彼女よりも若干高い。そして、彼女と同じように身長が高いことに対して、コンプレックスに感じたことはほぼない。だから、わたしが同じようなことを言われたとしても、似たような返しになると思う。
しかし、世間では未だに高身長の女性に対して、心ない言葉をぶつけてくる輩も少なくない。それに傷ついている女性もたくさんいる。欧米と違って、日本では未だに女性は身長が高くないほうがいいと思っている人が少なくないのだ。それが彼女たちのコンプレックスの原因となっている。


だが、わたしは思った。
果たして、身長170センチは、コンプレックスになり得るのか?

そもそも、コンプレックスとは何なのだろうか。

記事を書くに当たって調べてみると、本来の意味のコンプレックスとは感情の複合体という意味であって、それは必ずしもネガティブな意味ではないそうだ。けれど日本では「劣等感 」という意味の「インフェリオリティーコンプレックス 」を省略した意味合いで使われることが多い。

では、劣等感はどのように生まれるのか考えてみたとき。それは、他者との比較から生まれるという結論に至った。相手のことを「羨ましい 」とか「いいな 」と思う気持ちから劣等感は生まれるのだ。

わたしは三姉妹の次女として育った。姉はバリバリの優等生タイプで、成績も良く、中学時代には陸上競技で優秀な成績を残し、陸上で進学しないかとスカウトがくるほどだった。一方妹は、天真爛漫で家族や親戚にも可愛がられて、友だちも多く、実家に帰るたびに友だちのところに遊びに行ったり友だちから声がかかったりしている。
さて、わたしはというと、子どもの頃からの本好きが高じてマンガやアニメが大好きなオタク少女に成長し、中学高校時代はどちらかと言うとアンダーグラウンドな世界に生きていた。わたしの趣味の世界は、中学高校当時の姉や妹、両親にもなかなか受け入れてもらえず、家で肩身の狭い思いをしたものだ。いまでは、家族はわたしの趣味をある種の諦めとともに見守ってくれている。しかし、当時は特に妹からはよく趣味を鼻で笑われたり、オタクな行動は学校ではしないでほしいと言われたりしたものだ。両親もわたしが本やマンガ、アニメにハマっていくことに対して、あまりいい顔をしてはいなかったように思う。両親に対して、姉や妹のようになれずに申し訳ないな……という思いが、少なからずある。
そんなこともあり、わたしは姉と妹に対して趣味の面で多少の劣等感……いわゆるコンプレックスを抱えている。

でも、この趣味のおかげで助かったことがあることもある。
わたしは大学卒業後、6年ほど塾講師として働いていた。そのとき、生徒たちと距離を縮める際に、自分が好きで読んでいた本やマンガが役に立った。生徒たちと共通の話題として会話をすることができたのだ。誰かと距離を縮めようと思うとき、共通の話題があるとあっという間に近付くことができる。おかげで、生徒との会話に困ったことはない。マンガやアニメに疎い同期には羨ましがられることもあった。
コンプレックスを感じることもあった趣味だけれど、それが上手く生きる場面もあるのだ。その生きる場を見つけることができるかどうかが、コンプレックスをコンプレックスと感じなくなるのではないだろうか。

ここまで考えたところで、ふと気付いた。

コンプレックスって、才能と同じなんだ。

活かすも殺すも自分次第。才能と同じように、コンプレックスが活きる場を見つけることができれば、やがて劣等感はなくなっていくだろう。それはやがて才能と呼ばれるようになるかもしれない。逆に、才能も活かすことができなければ、ただの宝の持ち腐れだ。どんなに器用なことができたとしても、それを披露できる場や能力を発揮できる場がなければその才能はコンプレックスへと変わっていくこともあるだろう。

さて、話を戻して。
身長170センチはコンプレックスになり得るか、ということを考えてみようと思う。

わたし自身は冒頭にも書いたように、身長が170センチあることに対してはコンプレックスを感じることはほとんどない。むしろ「背が高いね 」という言葉は褒め言葉だと思っている。そのため、わたしにとって身長170センチということは、コンプレックスにはなり得ない。

その理由は、自分の家族にある。
先程わたしのコンプレックスの原因になっていた家族だが、決して家族仲が悪いわけではない。同じ市内に住んでいる姉の家にはちょくちょく遊びに行くし、遠方に住んでいる妹とは電話で長話をすることもある。よくいる三姉妹だと思っている。姉の身長は、わたしより少し低く165センチくらいだ。妹はもう少し低く163センチくらいだろうか。父は自称170センチだし、母も昔は168センチくらいはあった。極めつけは、母方の祖父だ。祖父は昔の人間としては高身長で180センチ近くあった。わたしは高身長な家族の中で生まれたのだ。そのため、身長が高いことに対してマイナスなことを言われることがなく成長した。だからこそ、背が高いことに対してコンプレックスを感じることもなかったのだ。

もし今、何かコンプレックスを感じることがある人がいて、アドバイスをするとしたら、わたしは「環境を変えてみたらどうだろうか 」と提案したい。あなたがコンプレックスだと感じていることを活かす場はきっとある。それを見つけてその中に飛び込んでみてはどうだろう。
あなたのコンプレックスは同時にあなたの才能かもしれない。それを活かすも殺すもあなた次第だ。ぜひあなたのコンプレックスを才能に変えてほしい。


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