
共に不安になれる安心「福満しげゆき先生のエッセイシリーズ」
「ぼくの小規模な生活」「うちの妻ってどうでしょう」などなど
今回は一作品と言うより福満先生のエッセイ漫画について書きたいなと思っています。エッセイ漫画以外の漫画もすごく好きなんですけど、今回はちょっとエッセイ漫画に絞ってみます。
エッセイ漫画って「自分の体験したことを漫画にする」なんだと思うんですが、その中でも私は何気ない日常もののエッセイが好きです。
「世界一周旅行記」とか「会社員やめて起業した」とか大きなテーマのものも読むのですが、圧倒的に「何気ない日常の切り取りエッセイ」が好きです。
その中でも福満先生のエッセイって「マジで何気ない1日のうちの数秒の話」を漫画にしてらして、それが本当に面白い。
1日のうちで見過ごしてしまうような妻様やお子様たちの言動、福満先生の物事に対しての感想とか。
ものっすごい細かいシーンを漫画という形にするという技が高度すぎて本当に面白い。
そして概ねネガティブな空気が漂うことの多い福満先生エッセイなのですが、特に明るい結果に終わらないことも多いです。
ネガティブ現状維持、ネガティブ悪化、ややポジティブ発想転換。
それが、ネガティブ思考な私には安心するんです。
「福満先生の不安を読むと安心するぜ…。ああ、こういう事象にこういう感想を持っている人って自分以外にもいるんだな…。」みたいな。
こう書くと負の連鎖ぽく感じるかもしれないんですが、なんと言うか良い方向に安心するんです。
「じゃあいっか。わたしもこの感じで」みたいな。
ネガティブな時期って「何でこんなに自分はネガティブで暗いんだ…」って思って余計に落ち込むんですけど、そういう時に福満先生のエッセイ漫画を読むと、立ち直るとは違う、感情がフラットになると言うか「あ、現状維持で良いわ」みたいになるんです。同じ感想の人いないかな…。
絵柄も好きです。他の作品も含めて、やや表情に乏しく見える女子キャラたちが過激な言動を繰り返すコマが大好きです。くせになるので福満先生の描く女子高生の絵を見たいがために漫画を読み返すことがあります。
これ私的にはあんまり他の漫画家さんでは起きない現象です。「あのコマのあの絵が観たいから読み返そう」みたいな。
たまにあり得ないくらい感動する話があります。
福満先生のエッセイ漫画を、結婚とかお子様誕生とかの一連の流れを読んできた上で、その積み重ねの上でものすごい感動する話があります。
だーっと涙が出たのはお父様である福満先生の漫画に対する感想をお子様が言うコマがあるのですが、絵柄は他のページと同じはずなのに、すごい迫力でした。先生、涙を流しながら描いたのではと想像するくらい、素敵なコマなんです。ぜひ皆様には初期のエッセイから読んでそのコマにたどり着いてほしい…………。エッセイ漫画なのに、壮大な伏線が回収されたかのような物凄い感動を覚えました。
みんな読んでね!