金継ぎ挑戦中(その2)
金継ぎ挑戦中の三上です。
経過報告をいたします。
前回は、道具を揃えて損傷部分を研磨し、下地層を塗るまでお話ししました。
今回は、接着作業と充填作業のご報告です。
下地を塗布した器
修理中の器はこちらの3点。
下地層の透漆は無事に乾いていました。
▲下地を塗布し、マスキングされた修理待ちの方々。
本当はガラスみたいにツルツルの表面をした器にはマスキングは不要なのですが、自分の手先が不器用なことを考慮して念のためにマスキングテープを貼った次第です(マグの蓋は量産品なのでいいや、とそのまま)。
今日は透漆に、小麦粉や木粉、刻苧綿(こくそわた)を混ぜて、接着剤や充填剤を作ります。
▲本日使う粉。漆に混ぜると、接着剤や充填剤ができる。
麦漆による接着:マグの蓋
マグの蓋は破片を残していたので、これを接着します。
小麦粉と透漆を混ぜて麦漆(接着剤)を作ります。
▲作業版の上で漆を練っている様子。
破片や欠損部の断面にこれを塗布して、破片を接着。
▲破片を麦漆で接着したマグカップの蓋。
周辺の汚れっぷりが私の不器用さをアピールしていますね☆
このあと、外側をマスキングテープで養生して、乾燥させます。
蓋は今日はここまで。
次の作業は2〜4週間後、こくそ漆による充填。
いやー、漆って乾燥待ちの時間長いね、やっぱり。
刻苧漆による充填:豆皿、飯椀
破片が残っていない豆皿、飯椀は欠損部の修補をします。
充填剤として、麦漆に木粉、刻苧綿を混ぜた「刻苧漆(こくそうるし)」を使って補います。
▲刻苧漆作成中。これが欠損部を補う充填剤となる。
刻苧漆ができたら、豆皿と飯椀の欠損部にこれを載せて、サランラップを利用し整形していきます。
▲欠損部に刻苧漆を充填した様子。不器用だなとつくづく実感。
この二つは、次の作業は2〜3週間後に行います。
次は錆漆を塗る作業です(刻苧漆を整える層を作る作業)。
乾燥待ち:漆室へ突っ込む
作業が終了したら、漆室へ突っ込んで、終了です。
▲漆室。乾燥待ちが長いので、忘れぬよう作業メモをくっつけておく。
冬季に作業しているので、目安の時間通りで乾燥しない予感がムンムンとします……(ウルシオールは高温多湿で硬化)。
作業中の思考的副産物
漆はかぶれる可能性があるので、作業中は手袋とマスクをしていますが、今のところ全然かぶれる気配がありません。
刻苧付けの最中に、素手で刻苧漆に触れてみても、全然痒くない。
私はもともと漆に強い体質らしいです。
そういえば、両親の地元は日本一の漆の生産量を誇る地域です。
もしかしたら近い代の先祖に、漆を扱っていた人がいたのかも。
昨日懐かしいと感じたのも、それなら無理矢理ですが納得できます(笑)。
あと、漆に触れて良かったと思ったのが、上代の仏像の制作手法によく出てくる「乾漆造」の理解ができたことです。
「漆のくせに塑像? 不思議だなー」と学生の頃首を傾げていたのですが、今日刻苧漆を作って「こいつが乾漆造に使う木屎漆(こくそうるし)か」と気づきました(漢字は違いますが、材料は同じもの)。
何事もやってみるものですね、勉強になりました。
次回は二週間かそれより先の日程でお送ります。
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