あの扉の向こうに『いつかの夜空の星へ』
あの扉の向こうには
「
何気なく、意図もなく
見上げる時がある
きっと『いつかの夜空の星を』
それとなく懐かしむから。
冬の夜道を車で走り、探した空
あの時観た一面に広がる星の世界を
また観たいと願うから。
真夜中の山道をナビもない頃
少し彷徨った先に
どこかの村にたどり着く
川のせせらぎと虫やカエルの歌が
ただ聞こえるだけで街灯もない
でもそこは星明りで見渡せるほどに
透き通った世界が広がっていた
少し歩くと開けた空間がみつかる
どうやら学校の校庭のようだった
まだセキュリティも甘いその時代
外柵もない校庭にボクらは忍び込む
決していい事ではないけれど
もう時効だよね。
そこで騒ぐわけでもなく
芝生で大の字に寝ころんだ
ただ空を見上げるために。
いま眼前の空に広がる星粒たちを
数えるのは不可能なくらい
大きく輝く星達も
小さく瞬く星達も
ちりばめられていた
そして不意に流れてゆく星たち
全てが愛おしく見える程に
飽きる事のない満天のプラネタリウムが続く。
オリオンやカシオペアでさえ
その繋ぐ星々の隙間に
数多の小さな星が伺えるほど
澄みきった極上の空があった
しばらくそれらに酔いしれていると
彼女のくしゃみが校庭に響き渡る
そういえば、冬の屋外に地べたに寝ころんでた
惜しみながら校庭を後に帰路に就く
彼女を送る途中で、午後の紅茶を買ったこと
どうでもいいそんな事まで覚えてた。
それから15年位経ったある日
あの夜空を思い出し
あの場所を探した事がある
学校も校庭も既になく
辺りには家が建っており
以前の澄み切った星明りは
街灯にかき消されていた。
『いつかの星空の元へ』
もう辿り着くことはできないけど
ちゃんと想い出に焼き付いている。
別々の道を進んだアイツにも
あの光景は刻み込まれていると聞いている
『いつかの夜空の星空に』とって代わる景色を
地べたに大の字に寝転がるほどの感動に
また出逢えるといいな
」
そんな素晴らしい『いつかの夜空の星空へ』再び辿り着くまではと誓う物語。。
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