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あの扉のむこうに『一杯の珈琲から』

あの扉の向こうには


その突き当りを右に曲がると見えてくる

古ぼけた白いウッドデッキ

少しこじゃれたその店は

ごちゃごちゃした店内だけど

不思議と清掃は行き届いている

テラス席もあるのだけど

決まって奥の右側に鎮座する

だってテラス席で一人で座るって

なかなか恥ずかしくない?

洒落た人たちが使えばこそ画になる

店前でどうでもいい講釈をたれていると

「いらっしゃい」と馴染みの可愛い店員さんに

声を掛けられ、呼びこまれる

軽く手を上げて店内にて
いつもの珈琲をカウンター越しに注文する

きっと、どうでもいい客だろうけど

待つ間の何気ない話、何気ない時間
なんでもないひと時がたまらなく好き

世間話をしているとプクプクと湧いてくる
そのサイフォンの風景が心に刺さり
その豊かな薫りも鼻に刺さる

もちろんブラックでいただく珈琲と
一緒に出てくる小皿に載った2粒のリンツが
お気に入りの理由

もちろん店員さんの笑顔スパイスも込みで

とても豊かな時間を過ごせている

リンツを一粒、口の中に放り込み
珈琲と織り成す絶妙なハーモニーを
楽しみながら

午後のやる気に鞭を入れる

少しくらいの嫌な事も水に流して

「ごちそうさま~♪」

そう言って店を後にする

自分へのやさしさだけの食後の一杯



そんな『一杯の珈琲から始まる』日常の一コマの物語。。

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