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【読書日記】6/6 雨がしとしと降り続くから。「ご近所の博物誌/わかつきめぐみ」

ご近所の博物誌
わかつきめぐみ 白泉社

何かと思うに任せない一日でした。
朝から雨が続いていて、出かけるのも億劫になのですが、水気をまとった紫陽花は風情がありますし、今日は芒種ということで「慈雨」と思えば文句をいうのも罰があたります。
こんな日に想いだす漫画をパラパラと。

本書は、ある村にやってきた博物学者の二羽さんと村の少年・三稜が村の動植物を観察しながら過ごす毎日を綴っています。

三稜が町から来た二羽を困らせるつもりで渡した「貧乏蔓」。あっという間に大きくなって家を埋め尽くしたのをかえって喜ぶ二羽。
貧乏蔓がはびこったせいで雨漏りのする家の中で天幕をはって観察を続ける二羽にあきれつつ、動植物を今までにない視点で見ることを学ぶ三稜。

雨漏りの中でもご機嫌な二羽の動植物や人の暮らしへの素直な好奇心や敬愛の念、命への慈しみの姿勢は三稜でなくとも見習いたいところ。
「この星の目録」を作っている、という二羽のことばが印象的です。

また、表紙に寺田寅彦の随筆の一部が抜粋されてあしらわれているのも素敵です。

寺田寅彦のことば