【読書日記】1/1 お正月、歌留多の代わりに連句を「言葉の園のお菓子番 見えない花 /ほしおさなえ(著)」

言葉の園のお菓子番 見えない花 
ほしおさなえ 著 だいわ文庫

あけましておめでとうございます。お正月といえば歌留多、ですが、今年は「連句」の本を読んでいます。
年末にhontoをぶらぶらしていて見つけたのですが、「言葉の園」「お菓子」とくれば手に取るしかないです。気に入って今は続巻を読んでいます。
主人公が勤務していた書店の閉店に伴い失職して実家に戻り、祖母が遺したノートに導かれて連句の会に参加して人々との係わりの中で新たな道を歩き出す物語。
四季折々のお菓子も美味しそうですが、作中で描かれる連句の世界が魅力的。
連句は、複数の参加者が五・七・五の句と七・七の句を続け、36句で一つの巻「歌仙」を巻きます。
森羅万象を詠み込む、つかず離れずの距離感が大事、力作揃いではだめで軽めの作も必要、と連句の話をしているのに、人の世の話をしているように錯覚しそうになります。
我を張らず、個性は出す。そのさじ加減が難しい。
また、場の文芸である連句は「捌き」という主宰の力量が問われますが、これも組織のメンバーを適材適所に配置して目的を達成させるのはリーダー次第、ということと符号するように思います。

そして、「連句」で記憶から浮かび上がったことがひとつ。
数年前、金子兜太氏が連句の発句(最初の句)を詠んだのが不思議と心に残っていました。
「戦さあるなと起きて花野を歩くなり」金子兜太
平和を希求し続けた俳人の句。この新年にほろにがく響きます。。
調べてみると朝日歌壇の俳壇・歌壇の選者8人が2017年に巻いた歌仙「戦さあるな」の巻でした。新聞紙面にも公開されていたのですが、そのときは連句にあまり関心がなく発句以外は読み飛ばしていました。改めて図書館で探してみようと思っています