【読書日記】1/19 うさぎとかめとおんりーわん。『いそっぷ詩/谷川俊太郎』

いそっぷ詩 谷川俊太郎詩集
谷川 俊太郎 (詩),広瀬 弦 (絵)小学館

もう一月も後半に入りますが、今年は卯年です。
自宅の本棚の一画に図書館っぽくうさぎ本コーナーなど作って楽しんでいます。

うさぎ話の中のひとつ、イソップ寓話。「うさぎとかめ」
うさぎとかめが競争して、うさぎは油断して途中で寝てしまい、かめはコツコツ歩き続けてとうとう競争に勝ったというおはなし。

地道な努力の大切さ。努力は報われる。油断大敵。才能にあぐらをかくなetc.etc.
子供時代、あんまり周りの大人に言われすぎて、食傷気味となり、天邪鬼が顔を出す。

そもそもなんで うさぎとかめで競争しなければならないのか。
売り言葉に買い言葉とはいえ、競争を受けたうさぎもどうかしているし、勝負を挑んだかめもおかしい。頑張ってなんとかなるレベルではないし、うさぎが油断して寝てしまうことを期待するなんて図々しい・・・と、子供心にもやもやする話でした。

 他のイソップ寓話も、いちいち説教臭いのがちょっと・・・、と思っていたのですが、この「いそっぷ詩」。説教臭さが抜けて味わい深い。
谷川俊太郎さんがイソップ寓話のモチーフを活かして詩をつくり、広瀬弦さんの絵が彩っているのですが、今まで知っていたものとちょっと違う新たな魅力を見せてくれています。
ことばの雰囲気とリズムはやわらかいのに、中身は結構スパイスを効いていて、ぞくっとするものも。
 ユーモア、ペーソス、シニカル 時にエロティック
 全編ひらがな詩なのに、形容しようとするとカタカナばかり浮かんできて困りましたが、開き直ってこのまんまで。
以前に谷川さんが訳していたマザー・グース(講談社文庫)の雰囲気を思い出しました。

本書には、「うさぎとかめ」も収録されています。
谷川版「うさぎとかめ」、お日様のにおいがします。
 
ぴょんぴょんはねていくうさぎと のそのそあるいていくかめ。
競争は どこかにいっちゃった。
お日様は どちらもぽかぽか照らしてくれる。
「いいてんきだな」が繰り返されて なんだか楽しくなってくる。

うさぎとかめ は これで良い。

雑草生態学の稲垣栄洋教授によると、「すべての生物はナンバーワンである。そしてナンバーワンになれる場所を持っている。この場所はオンリーワン」だそうです。

うさぎもかめもオンリーワンのナンバーワン。
同じ土俵で競争する必要なんてなかったということ。
「うさぎとかめ」の新しい教訓。
自分がナンバーワンになれるオンリーワンのことを見つけよう。
そうすれば、きっと
「いいてんきだな たのしいな」