母から受け継ぐということ。

昨日のお昼ご飯、わたしがカレーを作った。母が近寄ってきて、自分がいつも作る土井先生の料理本を見ながら、教えてくれた。玉ねぎはみじん切りじゃなくても千切りでいい。玉ねぎを炒める時は蒸し炒めにするとやりやすい。お鍋に引っ付いたお焦げは旨味となるから、水を入れた時にこそげとる。母の工夫が含まれているレシピ伝授。なんだか尊い受け渡しのように思えてきた。わたしの中に、わたし一人じゃないもう一人の人生が少し注がれたような気がして、豊かになった気分。ずっと母とは犬猿の仲だったし、15年も絶縁状態だった。母とは違う人間なんだから、わたしはわたしのやり方で進んで行くんだと思ってきた。でもそういう生き方は、かえって自分の生きる場を狭め、単調であり、息苦しさも時々感じていたんだと思う。あと何年生きるか分からない年老いた母から、少しでも母の歴史を受け継いでいくために、洋裁も習っておこうと思った。友人の赤ちゃんの服を作るのだ。