見出し画像

水族館の教育的機能について思ったこと。

先日、名古屋港水族館→藤前活動センター→稲永ビジターセンター→シーライフ名古屋という水族館めぐりをしてきました。名古屋港水族館は数年ぶり、他は初めての訪問です。それぞれの施設の感想ではなくて、ちょっと考えてしまったことがあったので書き残しておきます。

久しぶりの名古屋港水族館では、ようやく環境教育のための常設展示コーナーができていました。どうやら今年の5月のコロナ休館明けからのようです(タイムリー)逆に言うとこれまでそういった環境教育的機能のある常設展示はなかった、ということですね。これまで名古屋港水族館は何度か訪問していますが、訪問するたびに気になっていたのが”レク方面への極振り””研究者同士の自己満足大会”だったので、少しずつでも来館者への教育的機能ができてくるのは良いことだと思います。

名古屋港水族館を後にして、藤前活動センターと稲永ビジターセンターへ。

この2つの施設は藤前干潟を挟んで右岸左岸にそれぞれある施設で、どちらも藤前干潟を紹介する施設となっています。

目の前に広がる干潟の光景を見て、展示で干潟についての知識を知り、藤前干潟をこれから先も守っていかないと、と感じました。私は単純なのですぐに感化されてしまいます。

さらに次にシーライフ名古屋へ訪問。シーライフはご存じのように世界中にチェーン店のように水族展示施設をもち、それぞれで環境啓蒙活動を精力的に行っている企業です。行かれた方達からの情報やメディアでの取り上げられ方から、正直あまり期待していなかったのです。イロモノ系施設でしょ?って感じに。

実際に訪問した結果、シーライフ流の環境教育満載プログラムと名古屋港水族館よりも地元密着を強調している水族館の方向性にとても驚きました。新型コロナ対策で体験系のイベントは全て中止。体験をウリにしている施設なのに…。

画像1

それでもパネルや展示内容、スタッフさんからの声かけ、映像など様々な方面から環境への啓蒙活動をビシビシと感じました。シーライフの目の前にある藤前干潟についてもきちんと説明されていました。また、水槽内のアナゴの住処には地元陶器工場の陶器のケーブル管を使っていて(それがちゃんと説明書きでも書かれていて)名古屋にシーライフ名古屋がある意義、みたいなのを表している様子が分かりました。

画像2

4つの施設をこの順番で訪問したせいだと思うのですが、結果的に”環境教育”という面では名古屋港水族館の残念さがハッキリ出てしまった…

正確に数を数えたことはないのですが、日本の水族館って海に面していたり近かったりすることが多いですよね。水族館の教育的役割って、水族館の中で学んだことを、目の前にある海や川などと一続きのものとして感じられないと意味がないと思うのですよね。世界の海の綺麗な魚たち♪もいいけど、その綺麗な魚たちがいる世界の海も今アナタが見ているその海とつながっているんですよ、なんなら目の前のそこに見えている海にもたくさんの生き物がいるんですよ、って感じてもらえなければ負けなんじゃないかって。

名古屋港をディスるわけでは決してないのですが、日本の海コーナーの干潟水槽で展示しているトビハゼは藤前から来ているんですよね?それならもっと藤前干潟について説明してみませんか?名古屋港にトビハゼが生息しているって知ったら驚く人も多いと思いますよ?めっちゃ環境教育になりませんか?世界的な海洋ゴミの問題も大事。でも主語が大きくなりすぎて伝わりにくくなっていませんか?見ている人が自分とは関係ないとスルーしていませんか?

主語が大きくなりすぎて伝わらない問題は大規模水族館ではままあることだと思いますが、上手に発信できている大規模水族館もたくさんありますよね。あと、小規模館は本当に工夫している施設が多いですよね。水槽の中への興味をそのまま外の世界に向けていく、つなげていく展示をこれからもたくさん探していきたいなーと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?