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(小説)屋台に今夜も灯はともる

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屋台が舞台のお仕事小説です。
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屋台に今夜も灯はともる その弐

あらすじ!!! 福岡は博多のビジネス街の一角。 深夜のみ営業の屋台のメニューは一風かわっている。 ラーメンとおでん以外は店主の胸一つ。 今夜も終電に見逃され、家に帰る気力もない。 そげな、あんたを、今夜も大将が、待っとるバイ! 二品目 手向けのビール  人が落ちていた。深夜の細い路地に。大の字で手足はバラバラの方を向いていた。暗い道で事件でも起きたのかと、ぎくりと心臓がはねた。  幸太郎はランニングの足を止めて近付いていく。 「どうしました、大丈夫ですか?」  身を屈

屋台に今夜も灯はともる その壱

あらすじ!!! 福岡は博多のビジネス街の一角。 深夜のみ営業の屋台のメニューは一風かわっている。 ラーメンとおでん以外は店主の胸一つ。 今夜も終電に見逃され、家に帰る気力もない。 そげな、あんたを、大将が、待っとるバイ! 一品目 サバのハーブグリル  履き慣れないハイヒールのせいで爪先が痛み、かかとには靴擦れが出来ている。この世の終わりのような気持ちで、華夜は足を引き摺るように歩いていた。  午前二時を過ぎて、終電はとっくに行ってしまった。ビジネス街の広い車道は昼間の喧