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今日はやさしくやわらかかった(まよなかめがや#19)

夏の気配が少し薄れて
「ずっとこの気候が続けばいいのに」
と誰しもが口にするような穏やかな月曜日だった。


郵便局に特定記録を出しに行ったら
窓口のお姉さんがやたらと大きさをはかる定規を
ぼくの手渡した郵便物になんども重ね合わせ
縦にしたり横にしたりしたあと

「この部分小さくなれば定型なんですけど
小さくはならないですよね?」
と声をかけてくれた。

自分の準備の悪さと
大雑把さを少し憂いつつ
目の前は優しい世界が広がっていた。


電車に乗る人はものすごい暑かった日に比べると
ぐんと増えたように感じる。
席には座れなくなったし
隣に立つ人との距離感も気付くと近くなった気がする。


でもどことなく
車内の雰囲気は柔らかくなったというか
緊張感が薄らいだ感じがする。

いい意味にも悪い意味にもなるけれど
乗り換えるまでの30分を
過ごしやすいと思った自分がいた。


歯を磨きながらベランダに出ると
風が冷たくて心地よかった。

トラックが通り過ぎるのを
缶ビール片手にずっと眺めたくなった。


そう思うと目の前の通りには
まったく車が通らなくなった。


なんかタイトルだけを切り取ると
少しいやらしい気がした。
そろそろ布団にくるまるしかないのかもしれない。



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