見出し画像

今のこの気持ちもどこか遠くへ

どことなく寂しい気持ちに包まれている
決して現状に満足していないとか
なにかこと足りていないとか
そんなことは全然ない

むしろ恵まれていると思う


今日ふとお風呂に浸かりながら
昔抱いていた感情を
もう持っていないことに気づいた

転職したいとか
あの服が欲しいとか
好きな人にまた振り向いてほしいとか
あそこに行ってみたいとか


ときが流れて
あのときの未来に今立って
あのときの欲求を満たしていて
あのときの感情をもう持たなくてすんでいる
もちろんすべてではないけれど


昔の感情を持たなくていいということは
とてもいいことのような気もして
それでも持っていないと
どこか寂しい

今がそんな気持ちの真ん中な気がする

帰ってきてほしいということもないけれど
満たされるなかにある
寂しさもあるんだなと思う


----------

亡くなったおばあちゃんが
まだ生きているときに
呆けが始まっていることを父から聞かされ
その晩こっぴどく泣いた

おばあちゃんが自分のことを忘れてしまうんだ
そう思って涙は止まらなかった

とても悲しかったあの感情は
今のぼくの日常にはなくて
想い出せば泣きそうになるという
矛盾をはらみながらも
おばあちゃんがいないという
寂しさがそれを抑え付けている

それでもあの日の感情を
忘れてしまうのはどこか寂しい
寂しさもだんだんと薄れるという感じで
遠くにいってしまっている


きっと今日のこの寂しさも
またどこか遠くへいくのだろうと思うと
寂しさがちょっと上乗せされる


缶ビールを持って
ベランダから外を見たいけれど
そろそろ布団にくるまりたい
そんな日曜日の真夜中でした



かめがや ひろしです。いつも読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、インプットのための小説やうどん、noteを書くときのコーヒーと甘いものにたいせつに使わせていただきます。