きっと今日もうさぎは月でお餅をついている(超短編小説#26)
定時に仕事が終わらない今日をくぐり抜け
いつものように深夜1時を過ぎて布団に潜り込む
寝る時間がいつもと同じ時間なので
ぼくにとってこの時間は定時で
たまに芸能人の熱愛スクープの記事にある
「深夜23時の六本木で」なんて状況説明の
深夜という表現は本当に深夜なのか
読むたびにいつも訝しくなる
今日は下弦の月だそうだ
おいしそうに下半分だけが黄金色に
光り輝く月を見上げながら
思わず一口目に「あまっ」と声が出た
缶に入ったワインベースのカクテルは
極度の甘味に包まれ