ぼくらの「ずっと待ってるから」はどこへ行ったのだろう(超短編小説#27)
土曜日の午前中に車のなかで
彼女は目に涙をためてぼくにこう言った。
「ずっと待ってるからね。」
想いをこめたということが
渡されたときから伝わってくる手紙には
こう書かれていた。
「ずっと待ってるね。私がそうしたいし
身勝手でごめんね。」
日曜の午後の渋谷の喫茶店で
ぼくは何食わぬ顔でこう言っていた。
「きっとずっとこのまま
待っているんだと思う。
結婚しても子どもが生まれても。」
どれも今ではその
「待っている」という状態は
もうどこにもなくて
お互いがお