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カップにはカフェラテがまだ半分以上残っていた。 いるはずもないのに、久しぶりに感じたにおいにハッとした。 『このにおいが世界で1番好き。』 『そして、このにおいが世界で2番。』 そういって彼女はグイっとこちらの右腕を持ち上げ、paul smithの香りに包まれている手首に鼻をくっつけた。 彼女が世界で1番好きなにおい。 そのにおいを感じて、いるはずもない彼女の気配を探してしまう。 声もしないし、姿も影もない。 けれど頭で理解しながらも、下を向く頭のうえでは
二人を乗せたリムジンバスは首都高速から、あっという間にアクアラインへと入っていった。 隣の雅喜は窓の外に視線を向け、流れる無機質なグレーが続く景色を眺めていた。 繋いでいる真希の右手と、雅喜の左手。 いつものように軽く握られているこの温もりが、真希は大好きだった。 『普通にご飯とみそ汁がいいかな。』 最後くらい好きなものを頼めばいいのに、何を食べたいかという質問に雅喜はこう答えた。 グレーの世界が一瞬でパッと真っ白な世界へ移り変わり、真希はたま