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タスマニアのクラフトウイスキーから考える


地球上で最も空気・水が美しいと言われるタスマニア

雨水が飲める、という危ないたとえ話があるほど清浄な空気と水で有名なタスマニア。湧水にも恵まれているのでしょう、酒造関連施設が多いです。
地ビールの醸造所、クラフトジンやウィスキーを送り出すマイクロディスティラリーなど。

ワインが有名だという予備知識は持っていましたが、ウィスキー・ジンが豊富というのは行ってみるまで知りませんでした。酒店にもタスマニアウィスキーコーナーがあるほど。

ここだけでも8種類ほどの銘柄が確認できる

オーストラリアの酒税はかなり高め

ウィスキーを愛飲される方はお気づきになるかもしれませんが、価格設定が高い。実に高い。ジャックダニエルが20オーストラリアドル / 以下AUD(約2,000円)です。日本と変わらないよね、と思われた方。容量にご注目ください。実は200mlなんです。うおお高い。
そこで察しました。そうか、酒税か。ワインやビールと違って、ハードリカーの酒税が高いんだな、と。

焼酎
純アルコール1リットル当たり85.36豪ドルが課税されます。

JETRO アルコール飲料の現地輸入規則および留意点:オーストラリア向け輸出

これは痺れる税率です。ウィスキーの場合40~50%程度のアルコール含有率が一般的ですから、750mlのウィスキーの場合、ざっと30AUDほどが課税されるんですね。どっひゃー。

こうなると、ボリューム商品よりプレミアム商品の開発に力が入るのは必然でしょう。量が売れることは期待できないですから。
画像の上段に並んでいるタスマニアンウィスキーたちは、152~280AUDですから、約15,000円~28,000円。相当なプレミアム価格です。

プレミアム商品が中心のタスマニアウィスキー 実に美味しい

そんなタスマニアウィスキーのパイオニアは、1990年代にビル・ラーク氏が設立したラーク蒸留所。ホバート市内にも直営バーLARK Cellar Doorがあり、行ってきました。

港湾部の倉庫跡を思わせる渋い外観です
100mlボトルが中心の販売

価格帯は100mlボトルで40~80AUDが中心。様々な熟成樽や配合の妙で、多様なフレーバーが販売されています。

ラベルも可愛い

スタンダードな「クラシックカスク」40AUDを購入し、自宅で頂いたのですが実にバランスが良く飲みやすい。余韻が長く残る、美味しいウィスキーでした。

蒸留所見学も可能

ホバート近郊の7K Distilleryを訪問した際は、蒸留所施設を見せてくれました。アポイントを入れておけば、蒸留責任者が説明もしてくれるそうです。

蒸留所兼物流倉庫兼営業所 まさにマイクロディスティラリーです
立派なポットスチル

タスマニアウィスキーから思う 日本のお酒にチャンスあり

北海道の8割程度の面積に20ほどの蒸留所がひしめくタスマニア島のマイクロディスティラリーを見学して思いました。
日本のお酒、まだまだチャンスあるぞ、と。特にウィスキーは世界でプレミア化していますがもっと外へ打って出る機会がありそうです。

私としては、造り酒屋さんのオフィシャルボトルだけでなく、ウィスキーにあるようなサードパーティーが原酒を買い上げ、ボトリングを行うような商品でキャッチーなものを開発できるんじゃないか、と思います。

特に焼酎。米国、中国に住んだ経験がある私にとって焼酎は実にもったいない商品です。どちらのマーケットでもさほど高付加価値がついて売られていない。日本とさほど価格が変わらないのです。まだまだ付加価値を付ける余地がある商品だな、と思います。
そもそも日本での販売価格が安すぎますしね。1升瓶3,000円弱(20USD)は安すぎるでしょう。怪しい酒にしか見えません。

獺祭は米国生産を始めましたし、中国やフランスでも日本酒が作られています。made in Japanの商品が攻めていける余地はあると思いますが、どのあたりに障壁があるのか知りたいところです。日本の産品を外で売るための取り組みをもっとできればと思います。

一見旅行記なのに例によってお固い話で終了です。今日もお付き合いいただきありがとうございました。

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