第二章　　　○茄子芥子漬け

　茄子の芥子漬けには、甘味漬けと辛味漬けの二種類があり、普通漬物屋で売っているのは甘味漬けの方です。しかしこの甘味漬けは口当たりは良いのですが、永く保存が出来ません。又あまり甘過ぎると風味を損なって
しまいます。

なるべく小さな茄子　　　　　八合
塩　　　　　　　　　　　　　少量
味醂　　　　　　　　　　　　三合五勺
芥子　　　　　　　　　　　　三合

　これに使用する茄子は、花落ちと称する至って小さな茄子を選んで、先ず蔕を切り取ってよく水洗いして笊に上げて水気を切ります。
　漬け桶の中に、普通の塩漬けをする手順で分量の茄子を漬け込み圧し蓋を入れ、重い重石を載せて塩漬けします。程良く水気が上がったら笊に上げ、再び水気を切ります。それから芥子を丼に入れ、分量の味醂と程良く塩を加え、よくしゃもじで掻き回します。充分に混合したら壷か瓶の中に入れ、直ちに茄子をその中に入れ掻き回します。そのまま蓋を堅くして、紙で目張りをしてなるべく日光の当たらない所に置けば、２ヶ月ほどで食べ頃となります。
　食べる量だけ箸で取りだしては、また元の様に蓋をして紙で目張りをして置かないと、辛味が抜けて風味を損しますので、注意してください。