久しぶりのスター誕生

スターが出現するとそのジャンルは活性化して人気が出ます。しかしスターはなかなか現れないし作り出すのは難しい。講談は幸いなことに神田松之丞というスターが産まれたことによって活性化しました。しかし神田松之丞の伯山襲名披露はコロナ禍の影響で延期となってしまったのですが。

 関東ではあまり話題にならなかったのですが、関西の講談界では旭堂南青(きょくどうなんせい)が2018年11月真打ちに昇進し、「旭堂南龍(なんりゅう)」を襲名し話題になりました。男前の南龍は女性ファンが多く、キリッとしているその高座姿は美しいのです。

 落語界では2019年3月に三遊亭歌之介が4代目・円歌を襲名。寄席であれだけ爆笑をとる歌之介は、メディア露出が少ないため知られていないけれど、 ~山のあな あな~ で有名な「授業中」で一世を風靡した師匠の名跡「円歌」を襲名するにはふさわしい弟子だと思っています。

歌舞伎界では2020年5月、市川海老蔵が十三代目団十郎襲名というビッグイベントが予定されていましたが、前述の神田松之丞の伯山襲名同様にコロナ禍の影響で延期となりました。

伯山、団十郎の襲名披露が予定通り進められていたら、相互効果で講談界はもっとスポットライトが当たっただろうにと残念でなりません。


1959年生まれの自分にとって、最初に出会った講談界のスターは一龍齋貞鳳でした。物心が付いた頃にテレビドラマ「お笑い三人組」で観た貞鳳。講談を聞いたことは無かったですが、テレビの人気者としてその名前は頭に残っています。
テレビで講談を見た記憶としては田辺一鶴が最初かも知れません。一鶴は時代の寵児となり後ろにひっくり返る程のハデなアクションは印象的でした。一鶴を知り講談界に飛び込んだ弟子達も数多く、講談がメディアを騒がせた時代でした。

その後しばらく講談はメディアの片隅に追いやられ、世間から忘れ去られた感がありましたが、2002年、神田北陽が三代目神田山陽を襲名しNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」で人気となりました。北陽は不思議な講談師で、その後故郷の北海道に戻ってしまい第一線からは姿を消してしまったのですが。
 
神田伯山は兄弟子神田山陽以来の講談界のスターとなったわけです。
伯山ブームで巷談に初めて接する人達が増えていると思います。令和は、巷談界にとってはチャンス到来のタイミングとなりました。

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こちらは、橘川の過去のアーカイブをまとめていましたが2024年5月16日に変更して、これからの出版業界を考えるマガジンにします。よろしくお…

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