高校生の情熱が蘇らせる幻の石橋 「梯橋」保存プロジェクト

嘉麻市桑野にひっそりと佇む幻の石橋。その存在を再発見し、その価値を明らかにしたのは、一…

高校生の情熱が蘇らせる幻の石橋 「梯橋」保存プロジェクト

嘉麻市桑野にひっそりと佇む幻の石橋。その存在を再発見し、その価値を明らかにしたのは、一人の高校生の情熱でした。 福岡県朝倉高校の史学部部長、中原透也さん(発見当時17歳)が、橋の歴史を追い求めた調査は、推理小説を読むかのようなドラマでした。

最近の記事

III. 石工集団と架設技術について

嘉麻郡内で他の溶結凝灰岩や砂岩に比較して強度が大きい花崗岩の需要が高まる19世紀以降に、新しい石切場の開拓と加工技術が向上し、加工できる石工集団が地元に存在していたことに加え、近隣の石橋架設に関する技術の影響を受けた可能性が高い。 近世以降における市内の花崗岩の石材利用は、年代が確実なところで益富城の石垣が最も古く、同様に年代が分かる資料として近世墓がみられる。しかし、市内の近世墓は大型の墓石を除いて加工が容易な砂岩が用いられているのが一般的で、墓石に花崗岩の占める割合が増

    • 石橋の建設等に関する評価②

      リブアーチ型石橋の技術系譜について 掛橋のリブアーチ型石橋は、他からの伝搬でなく、基本的なブロック型の石橋構造の特徴や弱点を学び、花崗岩の特性を生かした石橋構造を模索する中で、リブアーチ型石橋を着想した可能性が大きい。 九州島内で確認されているリブアーチ型石橋の最古例として、安政 3年(1774)の熊本県山鹿市の洞口橋が知られているが、掛橋の石橋とは使用石材や架設年代も相違することから、本形式が肥後熊本からの直接的に伝播したとは考えにくい。また、桑野地区にある仙林寺の僧な

      • 石橋の建設等に関する評価①

        架設時期について 掛橋の石橋の架橋時期を直接記す史料は確認できていないが、明治の初期に編纂された『福岡県地理全誌』に該当する記録が確認でき、洪水の記録や文久橋の架設記録が残っていることから、嘉永 3年(1850)から江戸時代末の間に架設されたと考えられる。掛橋の石橋の使用石材には数箇所矢穴痕(幅5cm、長さ4cm、間隔8cm)が認められ、矢穴の特徴から19世紀代のものと考えられ、秋月藩城下町にある秋月眼鏡橋が文化7年(1810)に架橋されていることや洪水等の被害による橋の付

        • 石橋の技術的な評価

          リブアーチ型石橋に関する各種記録や資料及び史料より得られた文献1)の調査結果を基に、まだ解明が不十分な点はあるものの、石橋の技術的な評価、石橋の建設に関する評価及び石橋 の産業に対する寄与等を考察し、以下のようにまとめた。 石橋の技術的な評価 -------------------------------- 掛橋の石橋の技術的な特徴は、従来の石橋形式である直方体の溶結凝灰岩等の石材を積み上 げたブロック型石橋でなく、花崗岩を用いたリブアーチ型石橋が江戸時代末期に架設されてい