ポスト資本主義時代の塾経営のヒント
先日、HP経由で学習相談がありました。
塾に通わせているけど成績が悪くて心配だというもの。
聞けば個別指導の塾だという。やっぱりコンビニ塾の仕業か。
コンビニ経営みたいにやっている人のところではまともなアドバイスできるはずもないのだということは、そこの塾のブログ読めばわかりますよ。どうでもいいような日記が綴られているだけだったりしますから。
お礼のメールが届いて、僕が目指すべき塾について考えました。
僕が目指したいのは「通っている子が羨ましがられる塾」になることだと。
遠くて通わせられない保護者や、他の塾に通っている子から羨ましがられるってすごいことじゃないですか。
圧倒的な情報発信は、お母さん達から羨ましがられます。「あそこの塾はすごいわね」と。
また子ども達の間でも羨ましがられたいです。「いつでも行ってよくて、学校の宿題も終わる」「成績も上がるし、第一志望にも受かる。そして、なんか楽しそう」と。
「こんな塾は探しても他にどこにもない。」うちの近くに作ってくれよと。
そしたら通っている生徒も、通わせてくれている保護者も最高じゃないですか。
もうそうなると誰も辞めませんよ。そしたら塾生集めのための広告費だって必要ないですし、経営も安定。いいことづくし。
どうしてそれをどこの塾も目指さないのでしょうか。
そうなったときに教室増やしてしまうんでしょうね。ニーズがあるからじゃあ作りましょうと。
しかし需給のバランスというものがあります。
塾は「ちょっと入れないくらいがちょうどいい」んじゃないでしょうか。プレミア感がつくくらいのところで止めないと、あとはブランド力が下がってしまう。
教室を増やしていけば、コンビニ化していきますから質は低下します。誰でもできる形にしていくわけですから。
羨ましがられる塾というのは「唯一無二の塾を追求すること」です。塾のコンビニ化とは対極の状態なんです。
ところで「バイトやめる学校」という素晴らしい本があります。
ここには、行き詰った資本主義社会の次に来るであろう「ポスト資本主義」のヒントがここには書かれていました。
資本主義の人たちから絶対に真似されないようにするには「儲からないことをやればいい」と言うのです。
「最大の労力で最小の利益しか出ないような試み」は、「絶対に真似されなくてライバル不在」で最強だというのです。
これってほんと的を得ていると思います。
これを塾屋に当てはめれば、通っている生徒や保護者が羨ましがられる塾にするには「儲からないところに力を入れている塾にすればいい」んですよね。そこに唯一無二性が生まれてくる。
看板だけ違くて中身はどこも同じ塾が腐るほどあります。
そういう塾はどれだけ早く設けるかで設計された塾です。だからすぐに真似される。どこにでもあるような塾では、誰からも羨ましがられないから、辞める人も多いでしょう。辞めようとする人を止めるのも一苦労です。僕も雇われ時代は電話がけして引き止めていました。不満を電話で聞いて解消していくのです。
だからその分だけ生徒集めも大変。チラシもばら撒きますし、CMだって打ったりしてました。
でもよく考えてみたら阿呆じゃないですか。
最初から次のような流れにしてしまえばコストを最小限に抑えることができるんです。
儲からないシステムを作る
↓
誰も真似しない
↓
唯一無二の塾になる
↓
生徒が辞めない
↓
生徒集めや、生徒を辞めさせないようにする業務がなくなる
↓
儲けに関わらないことに時間を使うことができる
↓
さらに塾の唯一無二性は高まる
↓
もっと生徒は辞めなくなる
これがポスト資本主義時代の塾経営なんじゃないでしょうか。
飽和した業界で生き抜く知恵とも言えるかもしれません。生き残りの難しい業界で生き残る道になる気がします。
雇われていた時代の出世頭の部長が、僕が提案したことに対して次のように言いました。
「メリットを上げろ」と。
今考えると、あの部長はバカだったんだと思いますね。
メリットがすぐにあげられるということは、すぐに真似されることなんですよ。
一見すると、メリットがなさそうなことをこれからはしていかないといけないんです。
それがわかってなくて部長になれたんだから、塾業界バブル世代だったんでしょうね。
塾業界バブル後のこれからは、誰も思いつかないし、思いついても儲からないから誰もやらないことをやらないと、泥沼競争から抜け出せない時代です。発想を変えないと生き残れませんよ。
あの日COOLだった出世頭の部長は、今じゃ独立してコンビニ塾の店長
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