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源氏物語 12 角田光代訳①

『源氏物語』2ヶ月にわたる朝読書通読中、何度か谷崎、円地、寂聴三者の訳を読み返し比較参照しながら、2017年秋に上巻が出た角田光代訳も読まなければと思うことが重なり、完結まで購入を控えていた大部の3冊を7月に入って急ぎネット注文し、原文読了後のこの1週間、まずは宇治十帖の下巻から手に取り600頁の大冊を読了した。
原文通読でも記した通り、宇治十帖についてはつねづね近代小説のような印象をもっていて、この度の原文通読でも改めてそれを実感したので、どう訳しているのか興味での初読だった。
物語そのものが面白いので、その物語力なのか、角田訳のなせる技なのか、原文世界とは異なる趣ながら、スピード感に満ちて、薫、匂宮、大君、中の君、浮舟の心理の綾が活き活きと滲み入る読書体験となった。寂聴訳初読の折りもスピード感に驚かされたが、角田訳は、敬語表現が割愛されることで語りの典雅さはうすめられたものの、物語の骨格が鮮明に打ち出され、人間ドラマとしての展開に惹き込まれる仕上がりになっている。
この後ゆっくり、上巻からの角田源氏世界を楽しんで、3巻読了の感想はまたあらためて。
2021/07/11


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