蝶花楼桃花の企画力への感嘆と、落語界へのいささかの懸念
今をときめく蝶花楼桃花が企画した二夜連続女流落語二人会、第二夜、古今亭菊千代との競演を、なかの芸能小劇場で鑑賞。
桃花の師匠、小朝の落語会で何度か聴いた春風亭ぴっかりが、永らく絶えていた蝶花楼の亭号を復活させ桃花を名乗り真打ちになって華やかな話題となって以来個人的には初の高座。小朝直伝の「宗論」と「辰巳の辻占」二席には、なお自家薬籠中の仕上がりとは言えぬ伸びしろを感じさせるものがあった。対して、同夜相席の大先達古今亭菊千代師匠は「鼓が滝」と「お見立て」で、貫禄の高座。もしかしたら桃花は見事に大先輩の露払い役に徹しているのかもと思い至り、そのあり様に感心させられた。
中入り後に加味されたふたりしての対談で、そう感じたのだが、そうした勝手な推量は置いて十分に聴き応えある一夜。二夜連続で、前夜の三遊亭歌る多師匠とあわせて聴くべき落語会だった。
同夜配布されたチラシによれば、今月下席の浅草演芸場では、夜の部全席、落語協会の女流真打ち勢揃い日替わりで主任とのこと。また、7月には桃花が池袋演芸場でひと月31席すべてネタおろしという驚嘆の高座が予定されている。誠に興味津々、師匠である小朝譲りの企画力に感心するばかりである。ますますの活躍に期待膨らむばかりであった。
ただ、同夜のふたりの対談によると、落語界は現況新入門が激減して、いささか将来が懸念されている様相らしい。桃花の企画力、牽引力には目を見張らされるが、中野の会場に集まった贔屓筋の平均年齢の高さから鑑みるに、活況を呈する風の落語界ではあるが、先を見やるとそれほど安穏ともしていられないのかな、と心配のタネも拾ってしまった一夜でもあった。
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