温泉の話8

・その他
浸透圧による分け方と似ていますが、やはり人体に対する作用の刺激の強さ、すなわち「緊張度」によって大別することもあります。刺激の作用の強いものを「緊張性」といい、泉質では酸性泉、硫黄泉、単純炭酸泉、炭酸鉄泉、緑ばん泉、明礬泉などです。また刺激の弱いものを「緩和性」といい、泉質では単純温泉、食塩泉、重曹泉、ぼう硝泉、石膏泉、重炭酸土類泉、放射能泉などです。
このような温泉の分類法がありますが、一般的に用いられている分類は温泉水の含有成分の種類とその割合、つまり温泉水の化学組成による方法です。
温泉水には、非常に多くの無機成分が溶け込んでいます。大部分の成分は水中でプラスまたはマイナスの電気を帯び陽イオン、陰イオンとなって存在しています。陰陽両イオンは、溶液が電気的な中性を保つよう量的にバランスを保っています。
この温泉水を蒸発乾固させると水分は逃げ、溶存成分の陽イオンと陰イオンが結合して炭酸水素塩(重炭酸塩)、塩化物塩、硫酸塩などの形の塩類となって析出します。従って、温泉の泉質の多くはこれらの塩類の名前で示されています。蒸発させて固体の形で得られる塩類、その他の成分は固形成分とも呼ばれます。
主な塩類の他に硫黄、硫化水素を始め水質の酸性に寄与する水素イオン、水量ないし微量含まれる銅、臭素、ラドン、ラジウムなどの成分や、ガス性分の遊離二酸化炭素など、医学的に有効な成分が分類の考慮に入れられます。さらに、溶存固形成分が少量(温泉水1㎏中に1g未満)で泉温が25℃以上のものも分類上一つの泉質とされ、合計11種類の泉質に大別されます。

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