金春湯の番台から

6月、第1週の水曜日。

今日はやたらと疲れた。業務量はそこまで多くなかったけど、午前中の会議でやや強く当たられてむっとしてしまった。
そんな態度を取られる謂れはないぞ、という気持ちを飲み込んでさらりとその場をやり過ごしたものの、受けた言葉は多少のしこりとして残る。

時間が経っても微妙に晴れきらないまま、会社をあとにして金春湯へ向かう。
じわりと汗をかく蒸し暑さの中で、今日はお客さんが多そうだなと思いながら番台に座った。

19時半、女湯から湯上がりの常連さんが出てきた。
番台にぱっと200円を置いて、「飲み物代ね」と一言添えると冷えたドリンクを選びに冷蔵庫に向かった。
牛乳にジュースにクラフトビールまで揃っているけど、今日はどれを選ぶんだろうか。
少しの間悩んで、炭酸飲料に決めたようだった。
お釣りを50円手渡す。

常連さんは畳敷きの休憩スペースに腰掛けて、ひと息ついて透明なビタミンカラーの炭酸水をごくごく飲んでいた。
70代くらいだろうか。小柄で年配の女性がお風呂あがりに炭酸水をぐいっと飲む姿は見ていてすかっとする。

あまりに美味しそうなので、今日の湯上がりは同じものを飲もうと決めた。朝からなんとなく続くモヤモヤだったり、梅雨が目前に迫る湿度の高い空気だったりを微炭酸がシュワっと流してくれそうだ。

今夜は男湯のサウナ利用がすぐに満員になった。
週の真ん中、水曜日。しかも不安定な天気の中だ。少しでも気分を整えたい人が多いのかもしれない。

みんな同じ気候と曜日のなかにいるんだと考えたら、会議で強く当たってきた人の気持ちも理解できるかも。と思った。

……いや、そんなことなかった。
まだちょっとむかつくな。
これ結構根深かった。


このモヤモヤは、やっぱり勤務後にお風呂で洗い流したほうがよさそう。
たっぷりのお湯に浸かったあと、冷たい炭酸水で爽快に一日を終えよう。これは週の後半を乗りきるために必要な時間。
それを楽しみに、もう少しだけ番台に座るのだ。

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