漫画『ケーキの切れない非行少年たち』
この漫画の1巻を読んだ時には、まさか2巻目が出るとは思ってませんでした。いや、最初に言いますが面白いですよ、かなり。
前にも精神科医が主人公の漫画『リエゾン-こどものこころ診療所-』について書きましたが、
また別の角度から人ってものが知れる、そんな作品でした。
原作を読んだことありませんが、新書を漫画にすることで、こんなにも伝わりやすくなるのかと驚かされました。非行少年たちの表情、身振り手振りが描かれることで、より切実に感じましたね。
以前、鈴木マサカズさんの『マトリズム 』という作品を取り上げましたが、前作と同様に犯罪への切り込み方が見事です。
まず1番印象的だったのは、タイトルにもなっているこのシーン。
こんな感じで、非行少年たち1人1人にスポットを当てながらストーリーは進んでいきますが、「ケーキを3等分する」ことができないという背景には、ある共通点が見えてきます。
そもそも少年院にも種類があると。そして本作で登場する非行少年は、知的障害またはその疑いのある者。
この「疑いのある者」というのが、またポイントなんです。
こうやって具体的なデータも交えながら、少年院のリアルを、精神科医の目線を通して描かれていきます。
表現に悩んでしまいますが、ニュースで見たことあるような事件も出てくるんです。その後、少年院をきっかけに更生していく話もあれば、再犯に至ってしまう話も出てきます。
しかもプライバシーに配慮しながら、実例をもとに作られているというのだから、余計に考えさせられてしまいました。
この漫画だけに言えることではないですが、いろんな誤解を与えながら、受けながら、そんな社会の中で生きてるんだなって強く思いました。
1巻の終わりにある原作者のコラムには、こう書かれています。
大切なことは、この社会の中で自分だけではなくて、第三者の意見をうまく聞きながら、取り入れながらが1番の平行感覚を持つというか、自分というものを客観的に見ていくことなのかもしれませんね。
この漫画にはなんとなく「あなたは誰に支えられてますか?」って聞かれた気がしました。
冒頭にも書きましたが、オススメですよ。
それではまた明日!
最後に。
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