カイジの敵を応援したくなる「中間管理録トネガワ」

鎌田和樹

2020年1月29日 18:00

今回紹介するのはマンガも映画も大人気のカイジ。ではなく、カイジに出て来る敵のトネガワが主人公のマンガです。結構笑える&管理職あるあるで面白いマンガです。（聞き役：成瀬夏実）

カイジといえば、カードでじゃんけんしたり、橋から落ちたりするやつですよね。

そうなんですよ。よく知ってますね！

この前金曜ロードショーで、映画はみたんです。

カイジは友人に押し付けられた借金を返すために、エスポワールという船に乗るんです。その一番最初にやったゲームが限定じゃんけん。そのなかで、限定じゃんけんのルールを話しているが利根川。

映画では香川照之でしたね。

今日話したいのは、この利根川。この人のことをスピンオフで書いているのが「中間管理録トネガワ」なんです。

中間管理録って、ナンバー２の話なんですけど、最初から狂ってて、会長が全員の背中に乗っているところからスタートするんです。

それで暇やら、つまらないやら、本当に見たいのは人のどす黒い感情だと言ってくるんです。「そう思わないか、利根川？ならば企画しろ！」と常に会長のわがままを解決していくための、利根川がしっくはっくする物語なんです。しかも、部下も全員が優秀というわけではないので、本当に上と下に挟まれて中間管理しているんです。

カイジでは悪者ですもんね。

その悪者でいろんな企画している側は実はこれはこれで大変だって話なんです（笑）苦労と葛藤の物語、もうこれが結論ですね。

それで企画のために新プロジェクトで黒服が集まって自己紹介するんです。なぜなら黒服で違いがわからないから。会長はそもそも名前なんか覚えないんですけど、利根川は記憶するしかないんです。

このザワの使われ方もちょっと面白いですね笑

1人目は山崎で2人目の名前がめちゃくちゃ長い…！それで3人目なんて川崎がでてきて。崎かぶりだし、それもみんな趣味がボウリングなんですよ。

悪者側からみた世界、面白い。

荻野がきたと思ったら、萩尾がきたり。名前覚えるところから苦悩して、結局会議はグダグダで終わって。

利根川を応援したくなりますね。

そうなんですよ。がんばれ利根川！負けるな利根川！とこちらが応援したくなる上司なんです。

企画のアイディアを出す会議では、じゃんけんをもとにしたゲームのアイディアを出したんです。これがカイジに出てくる「限定じゃんけん」のアイディア。それでとにかく利根川は褒めたんですよ。そしたら、どんどん他の黒服からもアイディアが出てきて。心を掴んだ！みたいになってきて。

チームビルディングができはじめてきたわけですね。

そしたら会長が入ってきたら、じゃんけんがいいと思うんです、と言っていたのに、却下！と利根川が言っちゃって。急に手のひら返すんですよ。会長の顔色を伺って、却下しだしたから急に部下たちの信頼を失いはじめて。下は逆ギレして、利根川は失敗をしたくないという一心で却下している。でも結局会長寝てちゃって。

とどのつまりおじいちゃん…！

信頼を失っちゃったんですよね。

どの会社にもありそうな話ですね。組織作りとか、最初につまずきそうなところだし、会長の鶴の一声で翻弄される下の人たち！というのがリアルですね。

結局BBQして、高級肉を経費で落とさないで、自分のポケットマネーから出したことで起死回生して信頼を回復することはできたんです。利根川にはそういう男気があるんですよ。
そのあと、また改めて会議で黒服がプレゼンしはじめるんですが、黒服がパワポを使いはじめるんです。みんな圧倒的完成度で大満足して、カードじゃんけんが決まったんですけど、「カードじゃんけん」じゃなくて利根川が「限定じゃんけん」にしようとタイトルだけ決めていいとこ取りしたんです。

あるあるすぎますね（笑）特にアイディアは出してないけど、タイトル付けたことで自分の手柄にする人。

大人の事情が行き来して面白いんですよね。

あとは同窓会の話が面白かったですね。現実でうまくいっていない人ほど、こういうところではしゃぐとか、イケメンだった人がハゲたおじさんになっているとか、初恋の人に会ったり、同窓会あるあるが散りばめられているんですが、利根川は同窓会には来たものの結構ドライなんですよ。
みんな先生がきたから校歌を歌おう！となって歌わないのに、結局ピアノを弾いて同窓会をエンジョイしてたり。