現代文に答えはない。

現代文に答えはない。

当たり前だけど、この真実はもう誰もわからないかもしれない。


次の中から最も相応しいと思うものを選びなさい。

作者の意図を30字で書き抜きなさい。



学生の頃、現代文が苦手だった。
全然解けなくて、解き方がわからなくて、何度も繰り返し答えを覚えるように問題を解いたら、点数が取れるようになった。

現代文は得意科目になった。

そして現代文を解くのと同じように、作品から作者の意図を探した。

きっとどこかに答えがあって、誰かがそれを見つけているはずだ、と。

でもそれは違うのかもしれない。

わたしたちの世界には、
現代文で定められた答えのようなものはないのかもしれない。

この歌を歌っている時にそう思った。

歩いて歩いて街のはずれまで来た
昨日はもう思い出にしてきた
あなたを見つけた
油と土の匂い
何も言わなくていい

MISIA『希望のうた』 作詞、作曲:矢野顕子

「あなた」はどこにいたでしょうか。

語り手はなぜ「何も言わなくていい」と言ったのでしょうか。



例えばこの歌詞にこんな設問が付されたら、

それはこの歌詞から一番遠いものだ。


この詩に答えはない。

歩いて、歩いて、「あなた」を見つけたこの人物のように、

わたしたちもこの歌詞の意味を、歩いて、歩いて、見つける。

この詩の答えはどこを探してもない。


作品の〈答え〉なんて、本当はどこにもない。

わたしたちが今まで見てきたものは誰かが出した答えで、それは作品の答えじゃない。

もし答えがあるとしたら、それはわたし一人だけの答えだ。

ずっと先に歩いたところにあるものだ。

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