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N起業(非営利型起業) その5 ~起業は片手間で始めましょ~

さて、ここまで「B営利組織」って「N非営利組織」とどういう違いがあるのか?について2つの大きな違いを述べてきました。ひとつは、「目的」と「手段」が逆転しているということ。もうひとつは、「利益の分配」を許可しているかどうかということでした。

※「営利組織」と「非営利組織」の表記が似ており、見分けが付きにくので「営利組織」は「B営利組織」(Businessの頭文字を添えて)、「非営利組織」は「N非営利組織」(Nonーprofitの頭文字を添えて)と表記することにしています。

それぞれの詳しい解説については、【その2】から【その4】を読んでくださいね。ここまでぼくがお話したかったのは、とにかく「N非営利組織」が正義ですよという主張ではなく、「もっと起業をお気楽にやってもいいんですよ」ということです。起業は一部のとんがった、チャレンジングな人たちだけのものではなく、社会の役に立ちたいと思う方や、自分の持っている能力を試してみたいという志のある方なら誰でも可能なのです。もっと片手間にやりたいことを始めればよいし、はっきりとしたビジネスプランや、到達目標がなくてもやってみればよいということなのです。

こう書くと、ちょっと無責任な感じがするかもしれませんが、実際そうかもしれません。やってみてうまく行かなくても僕は責任を取る気はありませんし、やってみたご本人も何も責任と取る必要はないのです。だってこういったN起業は、誰かからの出資金を抱えて始めるものでもなければ、負債を抱えてスタートする性質のものでもないからです。

こんな風に書くと、一部のビジネスファイターからは、「覚悟がない!」と叱られるかもしれませんね。確かに覚悟もある程度は必要かもしれませんが、スポコン時代はもういいじゃないですか。

自分がやりたいと思える事業、誰かの役にたつと思える事業、自分の得意なスキルを活かせる事業を、とにかく試験的に始めてみて、その経験を元に次の展開を考えてみればよいのです。次の展開とは、その事業を継続・発展させるのか、その試験実施から見つけた新たな別事業を始めるのか、これはやっぱり自分には向いていないと辞めてしまうのか、といったことです。

こういった「事始め」を、ぼくはすべて「起業」ということばで語っています。「事始め」は一人で始めても良いですし、何人か気のあう仲間ではじめても良いです。小さなことから部分的に、単発的に、細切れに、試してみればよいと思います。

多くの場合、事始めは、「社会の課題に気づき、それを解決するために、こんな事業をやってみよう!」という意識から始まりますが、最初は収益の目処もなく、必要な物品や連絡費、交通費、会場費などの軽微な経費を自分たちの「持ち出し」で始めることになります。しかし、何度も何度も繰り返して事業を行う内に、毎回持ち出しで実施していくことがしんどくなっていきます。そして、自分たちの人件費はさておき、なんとかして先述の軽微な経費だけでも賄えるように実施する(行政の交付金なども利用しつつ)という第二段階に移行します。そして、できれば働いた自分たちの人件費も捻出できるよな事業プランに持ち込んで、関わるスタッフの無理がないように事業を育てていくのが第3段階です。そして、最終的には余剰利益が生まれるような事業に仕立てあげ、次回や次年度のような未来の資金も確保しながら安定した事業体になっていくのです。

片手間起業の成長ステップ-2

最初のステップでは、自己負担金があり、確かにしんどいかもしれませんが、いわゆるビジネス型起業と違って、負債を抱えるなどの大きな負荷を抱えてのスタートではないため、いつでも辞めることができます。そうです、辞めたければやめればよいのです。お気楽です。

もしかすると「そんなお気楽な起業は応援したくない」という金融機関や他のビジネス族はおられるかもしれません。それで良いのです。すべての組織が、誰からも応援されるわけではないのです。少なくともぼくは応援します。応援したい、一緒にやりたいという他団体といっしょにやればよいのです。そして、じわじわと成長していき、第4段階に行けば、また周りの反応も変わってくるでしょう。

でも本当は、組織の形態が「B営利型」であろうが、「N非営利型」であろうが、どちらでもよいのです。ただ、「B営利型」の組織は、第4ステップにいったとき、その余剰利益を「出資者に分配するのだ」。実はそのための組織だったのだ。ということだけ理解しておけばよいと思います。


【Next→】あ!次回は、NPOとNPO法人の違いとかについてお話しようと思います。

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