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N起業(非営利型起業)その8完結編 ~結局みんな次の社会を目指している~

さて、一旦この物語を完結させるべくキーボードを叩いています。これまで「起業」はもっと気楽にやりましょう!そのひとつの考え方として「N起業(非営利型起業)」というスタイルがありますよ。営利と非営利ってみんな勘違いしてるけど、どちらもお金を稼いで良いし、どんどん売上あげるべきなんですよ!というお話をしてきました。「え?じゃあ非営利ってどういう意味?」となる人は、このシリーズを【その1】からもう一度読んでみてくださいねー。

ここまで、ぼくはわかりやすさのために、「B起業(営利型起業)」と「N起業(非営利型起業)」を対比させてお話を進めてきました。そして、もしかするとB起業はやや利己的で、N起業が正義の味方、みたいなニュアンスがあったかもしれません。実際、ぼく個人的にはNPOの考え方が好きなので、ちょっと偏っているところがありますが、ほんとうはそれぞれ個人の考え方で、どちらの起業方法でも自分にあったやり方をやればよいと思うのです。ただ、これまで主流となってきた「B起業」では純粋に「事をはじめたい!と思っている人にとっては、大きなリスクを背負ったチャレンジという感覚が強く、一か八か感があると思うのです。ですので、ぼくは、みんなもっと気軽に起業しましょうよ。と言いたかっただけなのです。

そして、実は「B起業」と「N起業」、どちらの起業の仕方でも、結局同じ山を別のところから登っているだけなのではないかと思っています。

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縦軸に収益の有無、横軸に誰のためかという軸をおいています。これもあまり極端に言うと誤解を招くかもしれませんが、基本的に「B営利組織(ビジネス)」というのは、収益が発生することを目的としています。なので、この図の上部に位置します。そして、それぞの会社組織の方針によって、どのぐらい自分たちの利益を重視するか(内向き)、どのぐらい社会貢献を重視するか(外向き)、という価値基準はさまざまであり、幅があると思います。

次に、ボランティア活動というのは、基本的に社会貢献の活動であり、収益がありません。(収益をあげないことをボランティアと呼びます)

NPOは、ボランティアの延長線上にあると思われがちですが、それは大きくはまちがってはいません。しかし、どちらの方向に成長するかというと、収益を上げる方向、つまり、上図でいうと上方向に伸びていくのだと思います。これも、それぞれの組織の方針によってさまざまだとは思いますが、基本的にその活動を継続していくには、それなりの収益を上げ、人件費を始めとする活動資金を調達しなければ成り立ちません。

ですので、NPOにおいても、継続、発展している組織は、売上を上げるなり、寄付金や会費を集めるなり、業務委託を受けるなり、しっかりとした運営資金の調達方法を確保しているのです。そして、その組織がかかげる将来のビジョンを目指し、運営スタッフが困窮することなく、活動継続しているのです。

一方、ビジネスの世界においても、近年、SDGsの考え方を導入し、社会貢献や地球の未来を考える会社が増えてきています。特に若い起業家の多くはは、「手段はなんでもいいからとにかくお金儲けをしてやろう!」という考え方ではなく、「自分のもっているこのアイデアやスキルを使って、誰かを幸せにしよう。社会の役に立とう!」という志が強いように思います。

つまり、ビジネス型の組織においても、その意識は、社会貢献型の方向、つまり上図における右方向に伸びているように思うのです。

要するに!スタートはそれぞれかもしれないが、どの組織でも百々のつまりは、上図の右上のゾーン、「社会の役に立ち、収益もあげる」という組織を目指しているということになります。

当たり前といえば、当たり前の事をつらつらと書いてしまいました。

しかし!気をつけて下ください。ほんとうにこの右上のゾーンにおける価値基準、判断基準を持ち続けうるのは難しいのです。

例えば、「今の仕事はつらい、もっと自分にあった会社に転職したい」と考える人を救うために、『転職マッチングの事業』を開始したとします。この時点では、外向きの事業です。その事業がヒットし、どんどん登録者が増え、その人材を求める会社も増え事業はどんどん大きくなります。マッチングが成立するたびに収益が上がる仕組みなので、その成約数が増えれば増えるほど利益はあがります。またそれと同時に気に入った会社に入れる方、優秀なスタッフを獲得できた会社も幸せです。(この時点では右上の組織になります!)

なんにも問題がなさそうですが、この事業を続けていくうちに、収益があがることが面白くなり、どんどん成約数を増やすことに躍起になってしまいます。すると、ややともすると、このマッチングシステムで一ヶ月前に転職し、新たなスタートを切ったばかりの人材に対し、転職をおすすめするメールを送ったりする組織になってしまいます。こうなると、「あれ?」となりますよね。誰かを幸せにするために良かれと思って始めた事業が、いつの間にか利益をあげるために、幸せな方に、わざわざ煩わしい提案をする組織になってしまいました。

こうやって、一旦右上のゾーンに入った組織が、左上のゾーンに移行し、いつしか左下に入っていた。なんてことはほんとうによくある話です。

逆に、困っている人を幸せにするために、利益を度外視して無料サービスを提供し続け、スタッフの家計が立ち行かななくなり、事業をやめてしまうケースもよくあります。NPOではほんとによく見かけます。

こういった、バランスを崩すことなく、右上のゾーンに居続けることはそんなに容易いことではありません。常にバンスを保つための判断をしっかりとしていかなければならないからです。

みんなが右上ゾーンにいれば、誰かを幸せにし続け、自分やスタッフの生業も成立し、自分たちもハッピーという状況を作りだせますし、そうありたいと願っているのだと思います。

そして、人類全体が右上のゾーンに行ったとき、誰かを貶めてでも利益を上げるという必要もなりくなり、そうすると誰かを疑う必要もなくなり、お互いがお互いの幸せを自分の幸せと感じる社会になっているのだと思います。

これが、ぼくたちホモサピエンスの次のステージなのかもと思っていたりします。いったんここまで。願わくば【修羅道から人間道へ】

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