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風のない町

デリー、風が吹かない。少なくともサーワン月は風が吹かないようだ。風神ヴァーユはいずこ。

電気が通っていない部屋で暮らしているので、エアコンはもちろん天井ファン(パンカー)もない。涼をとる術は水をかぶるか、自然の風を待つか、人力で風を起こすしかない。

しかし、風が吹かない。屋外のワイヤーに吊るした洗濯物も、びくともしやしない。東京で暮らしていたときは、季節を問わず風が吹いていて、いつもいつも洗濯物が風に飛ばされたり、髪がぐちゃぐちゃになったり、スカートが捲れ上がったり、何かと悩まされていた。でも、デリーではその悩みが全然ない。

以前から疑問に思っていたヒンディー語の単語にलू (ルー)というのがある。

猛暑の季節に吹く高温の風、ということだけれど、インドってだいたい常に猛暑なんじゃないの、すべての風=高温の風じゃないの、なんで特別な単語があるんだろう、と思っていた。

が、体感してみてよく分かった。確かに6月頃は熱風が吹き荒んでいた。熱風トースターで焼かれてるような気分だった。あれが लू  なのでしょう。対して雨季、サーワン月の今、風は吹かない。लू もहवा もझोंका もない。

2023年のサーワン月は、7月4日から8月31日までらしい。2か月間…? ちょっとヒンドゥー暦をよく理解していないのでこれから勉強します。


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