ラーム寺院
正直、状況を把握できている自信はないけれど、2024年1月にインドに居合わせたのだから、言及しないわけにはいかにい。
いま、インドは1月22日に向けてざわついている。デリーの東、約300kmくらいのところだろうか、ウッタル・プラデーシュ州にアヨーディヤーという街がある。そこに数年前からラームを祀るヒンドゥー寺院が建設されてきていたのだが、1月22日に落成式を迎えることになった。力関係は把握できていないが、これが国を上げてのイベントとなっているようだ。
あちこちにポスターが貼られ、期日が近づくにつれ、ニュースも熱が入っている。この日に向けて現地へ赴く人も多いようだが、「1月22日は各家庭で灯明を5個灯そう」という運動も行われている。
先日、私の住まいのアパートでも、おそらくその運動の人達が各家庭を訪問して回っていた。(話を聞きたかったが、ガイジン枠でスルーされたので残念)
さて、ラームが誰なのか。詳細を説明し終わる前に寿命がつきそうなので、とても乱暴に簡単に言うと、昔々、アヨーディヤーの地の王子として、人間界に生まれてきたと考えられている神様のことだ。だいたい、絵姿では肌が青っぽく、弓を持った姿で描かれる。猿神ハヌマーンが側に控えていることが多い。
そう、アヨーディヤーは、神様が人間として生まれてきた聖地だ。しかしながら、歴史の流れの中で、彼の地のヒンドゥー寺院が破壊されてイスラムのモスクが建てられる→ヒンドゥーが復権してモスクの中にヒンドゥー神像を置く→暴動起きる→公式に、モスク用には別の場所を提供して、そこにラーム寺院を建て直すことを決定、という道をたどってきた。いま、ついにその寺院が完成して落成式が行われようとしているわけだ。
そういえば、1月26日は共和国記念日だし、愛国心ぶち上げ期間となりそうだ。モーディー首相の演説などもあるだろうか。
さて、王子/神様ラームの逸話はいろいろとあるのだが、リスの話が可愛らしくて気に入っている。ラームたち一行がランカ島へ向かう際、動物たちが大陸から島へ橋をかける手伝いをした。リスも小さい体ながら一生懸命、自分の身体全体に砂をまぶして運んでいた。そんな少量の砂に何の意味があるのかと周りの動物たちにはバカにされる。が、ラーマはそんなリスの心持ちに感銘し、背中をそっと撫でた。そのラームの撫でた指の跡が、今のシマリスの背中の縞だ、というお話。
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