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映画『人生は二度とない』

原題 ज़िंदगी न मिलेगी दोबारा 
本国公開は2011年だけど、どういう縁か、最近日本で一般公開されました。

とても簡単な粗筋としては、社会人になって数年後、学生時代の友人男子3組人のうち1人のバチェラーパーティーならぬバチェラー旅行でスペインを旅するというお話。

さて、この作品はアクタルファミリー作品のひとつなのですが、私、アクタル大好きなので、背景を書き留めておきます。

ジャヴェード・アクタル
1945年生まれ。脚本家、作詞家、政治家。無神論者を自称している。本作では挿入歌の作詞と劇中のモノローグのポエムを担当。
何で有名かって、バッチャンのSholayの脚本家。サリーム・カーン(サルマン・カーンの父)とともに、サリーム・ジャヴェードというユニットで、Don、Mr. India等の超ヒット作を書いた人。
近年では脚本よりも、娘のゾーヤー、息子のファランの監督作品を始め、映画楽曲の作詞家としての仕事が多い様子。

ゾーヤー・アクタル
1972年生まれ。ジャヴェードの娘。本作の監督。
アーミル・カーン主演のTalaash(2012)、日本でも公開されたGully boy(2019)の脚本家、監督でもある。最近ではAmazon primeで視聴できるドラマMade in Heavenか秀逸。超おすすめ。

リーマ・カグティ
1972年生まれ。本作のストーリー構成、脚本家としてゾーヤーとともにクレジットされている。ゾーヤーの友人で、かなりの作品を共同制作していて、プロダクションも共同設立。
脚本家や助監督として仕事をしているので、表に出ることは少ないけれど、ショートヘアで、だみ声で、アーミル・カーンにバンバンダメ出しするメイキング映像を見て以来、とても気になる存在。
Gully Boy日本公開時、ゾーヤーとともに来日。写真撮らせていただきました。

ファラン・アクタル
(ファルハーンとどっちがより正確な表記か分からない…)
1974年生まれ。ジャヴェードの息子。本作でイムラン役を演じ、Dialogue writerとしてもクレジットされている。
監督、プロデューサー、役者、歌手、ととにかく多才な人。27歳で初監督のDil Chahta Haiが大ヒット。本作でも絶妙な演技を披露している。

さて、本編の感想。遅めの青春と友情の物語。アクタル作品というか、ゾーヤー&リーマの作品は、サリーで踊る美女とか、聖者廟のエモいカッワーリーとか、ホーリーで紅粉まみれとか、トラディショナルなボリウッド要素が意識的なのか、ナチュラルなのか、排除されている。なんなら舞台はスペインだし。ホーリーじゃなくてトマト祭りで真っ赤だし。それでも映画は作れるよね、というのをじわじわ感じる。そして、いつも細かなネタがリアルで、たぶん、いくつかは実体験や人から聞いた話を採用していると思う。「プロポーズ」のくだりなど、そんな気がする。リアルで、滑稽で、どこか物哀しくて、ほんの少しの希望を抱く、生々しい人間の姿を描くのが非常にうまい。
「人生は二度とないから思い切って自分の思うままに生きよう」(現実はそうも行かないけど)というメッセージは、まあ、時々見るのは悪くない。
リティックの美貌とジャヴェードのポエムは、反則技。素晴らしいに決まってる。
派手さはないけど、人間模様が美しい。良作です。

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