デリーの冬
旅行でインドに来た時は、いつも4月〜6月あたりだったので、デリーの冬を初めて経験している。
ディワリ(今年は11月12日)が終わったくらいのタイミングで暑さがやわらぎ、やたらに蚊が出現し(25〜30度くらいがいちばん活動しやすいらしい)、大気が汚染だか霧だかで空気がかすみ、女性の足下がサンダルからスニーカーに変わる。人々はいそいそと長袖の服を着込み、ショールをかぶって防寒にいそしむが、正直、12月上旬の時点で朝晩は15度前後、日中は23度前後の気温だ。全然寒くない。住まいは大理石の床なので、さぞかし冷え込むだろうと思っていたが、まだ当分は寒さを感じることはなさそうだ。大気汚染さえなければ、非常に過ごしやすくて良い季節だ。
が、真夏に照準を合わせた人々にとっては、なかなかの寒さなのでしょう。隙あらば、日向ぼっこや焚き火している姿を見かけるようになった。住まいのアパートでは、共有通路によく日が当たるので、右隣りのアローラさん(仮)や左隣りのメーターさん(仮)が通路に敷物を敷いて、子どもたちとみかんなど食べながら遊んでいる。なごむ。メーターさん(仮)は毛染め中だった。インドの中高年女性って白髪が少ないなあ、と思っていたが、やはり染めているようだ。「シルバーヘア」的な発想はなさそうだ。住まいの裏手のスラムに毛が生えたような地域では、子どもも大人も路上で焚き火にあたっている。正直、たいして寒くもないのに、たいして暖かくもなさそうな焚き火の煙にまみれるのを厭わないのはどういうことだ、とは思う。だっせぇ洋服を着用した若者たちは、さらにだっせぇジャケットなどを羽織り始める。一方で、伝統的なサリーやクルタを着た年配の人々は、色とりどりのショールを羽織る。
大胆な色柄物を無造作にまとうファッショニスタの盗撮をしたくて仕方がないが、なかなかシャッターチャンスが訪れない。
冬場はドライフルーツが好んで食べられ、また、日々の料理のスパイスも多めになる。というより、夏場はスパイス控えめのほうが良いと考えられているようで、ご家庭によっては夏場はスパイスをいったん水通しして使うこともあるそうだ。
गुड़ पट्टी (グル・パッティ)またはピーナツ・チッキーと呼ばれる、ピーナツの飴固めのようなスイーツも店先や露店でよく見かけるようになる。要するにピーナツ・トフィー。なかなか美味しくてクセになるので食べ過ぎ注意。
グル・パッティのようなスイーツは「パーオ(250グラム)」単位で売られている。「एक पाव दे देना」(250グラムちょうだい)でスムーズに買い物ができるとちょっと嬉しい。
たぶん、またすぐに暑い日々がやってくるんだろうなぁ。束の間の冬を満喫したい。
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