映画『Rocky Aur Rani Kii Prem Kahani』

INOXオデオンにて鑑賞。オープニングの映倫(?)の画面にはEnglish Subtitleとあったのに、字幕がなかった。なぜ。もう一度字幕付きで観たい。

監督 カラン・ジョーハル
出演 ランヴィール・シン、アーリアー・バット、ダルメンドラ、ジャヤー・バッチャン、シャバナ・アーズミー
作曲 プリータム
作詞 アミターブ・バッタチャリア
振付 ガネーシュ・アーチャリア、ヴァイバヴィ・マーチャント、ファラー・カーン、レモ・デスーザ
衣装 マニーシュ・マルホートラ

物凄い布陣。カランの「ぼくのかんがえた さいきょうのボリウッド」。カランが前回監督した作品は2016年のAe Dil Hai Mushkil、あちらはカラン自身の人生や恋愛観を詰め込んだと思しき作品だったけれど、今回はカランが「アタシがスクリーンで観たい!」と思ったものを詰め込んだ感じ。ボリウッドの古い名作のオマージュがこれでもかと出てきて、残念ながら全部を追いかけることはできない。

粗筋は、ものすごく乱暴にまとめると、ヒンドゥー・パンジャービー系のランヴィールと、ベンガル系アーリアーのラブストーリー。
トンチキな衣装を着たランヴィールとペラッペラのサリーを着たアーリアーが雪山とかで踊るという、定期的に接種したいザ・ボリウッドロマンス。大好き。

金と事業と家父長制大家族を重要視する保守的パンジャービーと、インテリジェンスと芸術に重きを置く先進的ベンゴーリのぶつかり合いがドン引きするほどおもしろい。作中、アーリアーの父親役がカタックダンサーを演じているのだが、パンジャービー側が、「男のクセに、いい年して、あんな女みたいに踊っちゃってプークスクス」と貶めるシーンは特に胸が痛い。インド古典舞踊は、概ね「男踊り」「女踊り」を区別せず、ダンサーが男性でも女性でも全く同じ振り付けのことが多い。カタックにしても、バラタナティヤムにしても、オリッシーにしても、踊りを通じて愛や祈りを捧げる相手は神様なので、男とか女とか関係ないのだ。(大英帝国時代に女が寺院で踊ることを法で禁じられた背景もあるけど)
が、熱烈な愛を捧げる→ナヨナヨした女みたい、と理解のない人の目には写ってしまうのだろう。男踊り・女踊りを区別しないインド古典舞踊がカッコイイ、とずっと思っていたので、わー、インド人でも理解ない人はいるのか…まぁそうだよね…と本当に苦しくなった。

ダルメンドラ、ジャヤー、シャバナー・アーズミーら往年の名優が老いさらばえた姿を披露するのは凄みを感じる。カランがかつてスクリーンで観た、報われなかったラブストーリーのその後を描きたかったのかな、と思う。

さて、何が凄いって振付けが凄い。大物振付師が同時にクレジットされていてびびった。
ベンガルが舞台のラブストーリーといえばDevdas、Devdasといえば名曲Dola Re Dola、ということで、オマージュ曲Dhindhora Baje Re。

本家Dola Re Dolaと同じ振付師、ヴァイバヴィ・マーチャントが担当。ヴァイバヴィの振付けっていつも難易度高いのに、カタックも入っているからランヴィール、がんばったんだろうなー。

そしてガネーシュ・アーチャリアのWhat Jhumka?。Dhindhora Baje Reに比べると圧倒的にカロリー控えめだけれど、特徴的な動きでローカロリー&ハイパフォーマンスがガネーシャ振り付けの良いところ。

レモ・デスーザのHeart Throb。オープニングらしい、華やかな曲。

あれ? ファラーの振り付けはどれだろう。振り付けのクレジットって、youtubeやwikipediaでは省かれがちで、エンドクレジットを目を皿のようにして探すしかないことが多い。エンドクレジット中に客電つけちゃう劇場で確認するのは難しいなぁ。

さて、ランヴィール側はパンジャービー訛り、アーリアー側はベンガル訛り&独特の英語、で全体的に台詞が非常に聞き取りづらい。しかもランヴィールのキャラは、実在のイキりインフルエンサーの喋り方を参考にしたとかでクセが強い。ヒンディーネイティブだったら、どのバリエーションでも理解できるんだろうなぁ。時間があるのでもう一度字幕付きの回を選んで観たい。

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