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本心 平野啓一郎

格差があり、差別があり、様々な呪いもある。不条理なこの世界において、希望を持って生きていく為にはどうすればいいのか。この物語は平野さんの人生に対する最大の讃美歌だと感じた。
「こんなどうしようもない世の中であっても、それでも生きていくに値する場所であるのだ、自分が<自分>である限りきっと大丈夫なんだ」というメッセージを本書から受け取った。私もそうだと子ども達に言い続けたいし、自分自身にも言い続けたい。

物語の最終章で「最愛の人の他者性」について語られる。
これを語るために近未来の日本における親子の長い物語が語られたのだと感じて胸を打たれた。
登場人物全員が不完全であるが故に愛おしい。
彼らがそれぞれの人生を不完全な世界において精一杯生きてくれるのを願うし、それは私自身にも言えることだ。

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