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オワリはじまり。

知人の紹介で体験に行く事になった、美容関係のお店。

その会社が独自に作った基礎化粧品や美顔器を、アドバイザーさんからレクチャーを受けながら使っていく。

その会社のメソッドによると、洗顔する時は32度〜40度くらいがベストとの事。

綺麗に洗顔フォームを付け、アドバイザーさんが温度を調整して出してくれている筈の蛇口に手を近づけると、結構熱い。

寒い冬だとしても、ちょっと熱すぎるかな…
でもコンタクトしながら洗顔しているから、目を開けて蛇口を動かす事は出来ない。
かといって、アドバイザーさんは調節してくれていたから、「熱いです…」とも言いづらいな。

悶々としていた所で、アドバイザーさんが横から偶然、手を蛇口にかざし、「あっ御免なさい。凄く熱くなってましたね。」と言ってくれた。

「はぁ助かった…」と思ったのも束の間、
さらに一言、
「控え目なんですね。熱かったら、全然言って下さい!」と。

控え目か…
控え目なんだろうか、私…

いつもいつも、こうやって、誰かに遠慮しながら生きているように見られているのだろうか…

(安心して下さい。そのアドバイザーさんはとても親切な方で、その方に対しての文句とかイラつきとか、一切ないです。笑)


最近、他の人にもこう言われた。

「あなた、いつも猫背で歩いているから、寒そうに見えるのよ。もっと堂々と歩いたら良いじゃない。」って。


何だよ、それ。

分かるよ、分かるけど…


ついつい、「何が駄目なの?ほっといてよ。」って、悪態をつきたくなる。

そのお店に行った後に、通っているジムにトレーニングをしに行った時の事。


"もうすぐ今日が終わる
やり残したことはないかい
親友と語り合ったかい?
燃えるような恋をしたかい"

ジムでいつも流れる、ちょっと懐かしい歌のBGM。

この歌詞が聞こえた時、ふっと、「高校の運動会で一生懸命歌ったな~」
と思い出した。

運動会に力を入れている進学校に入り、
勉強しかしたことがなかった私が、初めて運動会を経験した高校1年生の夏。

私達の運動会では、赤・青・白・黄の各ブロック毎に、3年生の有志メンバーを中心としたリーダーのグループがあり、
そのグループを中心に運動会が企画されていた。

運動神経が昔から良い方ではなかった為、
運動会の盛り上がりは好きだけれど、競技をする事を考えると、少し憂鬱だな、、、と感じていた私。

「目立たないようにしとこう…」
まさにいつもの、「控え目」な私。

それが、高校1年生の時、自分のブロックにいたリーダーの先輩への憧れをきっかけに、少し変わった。

控えめな私にも気さくに声をかけてくれ、誰からも頼られ、誰をも楽しませる。
誰から見ても、
「この人と一緒にいたい。」
「この人にこの場にいて欲しい。」
と、感じさせる人。

その憧れが強く残り、2年生の運動会ではチアダンスに挑戦して、3年生の運動会では、憧れの先輩が入っていた、あのリーダーグループに立候補して、メンバーとなる事になった。


ジムで聴こえて来たBGMは、あの先輩に憧れた高校1年生の運動会で、私達のブロックが、替え歌にして歌った、というか叫んだ曲だ。

控えめだと、堂々としなさいと、
言われた自分と、
高校生の頃、心細くて不安で、自信の無かった自分がシンクロする。

あの頃から、私は変わっただろうか…。

ジムを出た後、ネットで検索して、あの曲の正体が分かった。

かりゆし58の「オワリはじまり」。

"またすぐ明日に変わる 
忘れてしまっていないかい
残された日々の短さ
過ぎ行く時の早さを
一生なんて一瞬さ
命を燃やしてるかい
かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい"

高校1年生だった私から、もう10年の月日が過ぎた。

変わった事も、変わっていない事もある。

でもあの時も今も、私なりに一生懸命生きてきたのだ。

あの頃もがいた心を、大人のフリして上手く対処しようとする心に誤魔化さずに、今もちゃんと、自分の心に向き合っている。

私はまだ、若さを忘れてはいないはず。

"もうすぐ今日が終わる
もうすぐ今日が終わる
かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい"

ジムに行く時に強い風と共に降っていた雪は、
帰り際には上がっていた。

もうすぐ暖かい季節がやって来る。

私が生まれた季節が近づいている。

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